接合・溶接技術Q&A / Q11-03-22

Q熱中症にかからないためには,どのような対策が必要ですか。

熱中症にかからないためには,ぜひ,次の対策が必要である。

(1)作業環境の整備

夏期における溶接作業場に冷房装置の設置が望ましいが,アーク熱によって熱せられた溶接作業環境の冷房は,技術面なことばかりではなく,経済的にもかなりの負担が伴う。むしろ局所冷房(スポットクーラー)・扇風機の設置を考える方が得策と考えられる。この際,溶接性を考慮し送風速度については,十分に注意が必要である。

屋内作業場については,溶接作業に係る粉じん(ヒューム)を減少させるため,全体換気装置による実施又はこれと同等以上の措置が義務(粉じん則第5条)づけられているが,夏期には粉じん濃度を減じるために,また,屋内の空気の流通を良くするためにも積極的に外気を屋内に取り込むことが必要であろう。

(2)健康管理

健康管理としては,

① 水分と塩分を十分に補給すること。

 ACGIH(米国産業衛生専門官会議)では,10℃~15℃に冷やした約0.1%の食塩水を15~20分ごとに約150mlずつ飲むことを勧めている。

② 日常の体質管理を徹底すること。

 睡眠・休養を十分にとり,食事は,規則的にバランスよく摂り,アルコールは過度にならないようにする。

(3)電動ファン付き呼吸用保護具

 溶接作業者は,数多くの保護具を着用しているが,夏場には,汗の発散を抑制するため熱中症にかかる危険要因となる。しかし,健康・安全の確保のためには,どうしても省略することはできない。特に,防じんマスクの着用は,じん肺から身を守るために必須である。これまで,環境空気中の粉じん・ヒュームなどの粒子状物質を,口を覆う面体(ろ過材)によって除去する「防じんマスク」によって行われてきていた。しかし,暑さが増すこれからの季節でのマスクの着用は,暑苦しさも手伝って作業者の大きな負担となる。

 溶接作業のように火気を扱う粉じん作業での呼吸用保護具は,呼吸に負担の少ない写真1のような「電動ファン付き呼吸用保護具」が有効と考える。

 この保護具は,直接,作業者の口を覆う必要はなく,かつ,環境空気中の粉じん,ヒュームを除去した新鮮な空気を溶接面の内面に供給する構造となっているので,これまでの防じんマスクのような息苦しさは解消される。また,汗の発散が促進されるので,溶接用呼吸保護具としては勿論のこと,暑気対策具としても優れる。

〈小笠原 仁夫 / 2012年[新規]〉

このQ&Aの分類

安全・衛生

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熱中症対策

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