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プラント圧力設備の溶接補修

第1回 溶接補修一般

山本技術士事務所 山本 栄一

(化学機械溶接研究委員会 圧力設備溶接補修小委員会)

 1.はじめに

社団法人 日本溶接協会 化学機械溶接研究委員会(委員長 大坂大学 南 二三吉 / 以下、委員会)は、@化学機械・装置用材料とその溶接・接合技術、A損傷・劣化診断技術、B保全・溶接補修技術などについて活動している。近年、国内外の石油・化学プラントや電力・ガスプラントは運転開始から長期間経過している設備が多く、設備保全管理の重要性が増している。

委員会では2004年から圧力設備の溶接補修技術調査を行い、2009年に「プラント圧力設備溶接補修指針(以下、指針と呼ぶ)」を刊行した。

これを機会に、指針の概要について以下のとおり、6回にわたりシリーズで紹介する。本稿では第1回目として、委員会の活動経緯と溶接補修一般について概説する。

第1回 溶接補修一般

第2回 溶接補修方法

第3回 炭素鋼・Cr-Mo鋼の溶接補修

第4回 ステンレス鋼の溶接補修

第5回 劣化損傷と溶接補修における留意点

第6回 国内外の溶接補修に関する法規・規格

 2.溶接補修指針作成経緯

委員会では1984年以降、圧力設備の溶接補修技術の体系化に取り組み、1987年に補修溶接施工法指針(JWES-CP-8701)」を、1993 年に改訂第一版・補修溶接施工法指針(JWES-CP-9303)を刊行している1)、2)

近年、国内外において供用中の圧力設備管理のため維持規格化が進められている。このような状況を考慮して、委員会では2004年に圧力設備溶接補修小委員会(以下、小委員会と呼ぶ)を発足した。小委員会は、学識経験者、プラント事業所、エンジニアリング、メンテナンス、圧力容器製造、材料製造、非破壊検査など各関連分野の委員から構成された。

小委員会では溶接補修事例や溶接補修に関する技術調査を行い、活動成果は2005年、2006年、2007年に「溶接補修技術に関するシンポジウム」の開催、ASME PVPおよびIIW(国際溶接学会)での発表により公開してきている4〜11)。2009年11月には、指針刊行(図1)3)を機会に、「現場保全技術者に役立つ新しいプラント圧力設備の溶接補修指針」シンポジウムを開催した12)

図1 プラント圧力設備溶接補修指針

 3.溶接補修指針3)

3.1 作成方針

溶接補修指針の作成方針は以下のとおりである。

(1)石油・化学プラントを対象とするが、他の産業分野の設備にも利用できる内容とする。

(2)設備ライフサイクル、設備保全・診断との観点で溶接補修を考える。

(3)圧力設備について損傷検出、損傷原因特定、再発防止策検討、溶接補修検討、溶接補修実施、安全性確認までの手順を体系化する。

(4)溶接補修の計画・実施は関連法規を遵守することは当然のことであるが、法規・規格の規定にとらわれないで、国内外での長年にわたる実績がある溶接補修方法について技術調査結果や技術変遷を考慮して技術的な観点からまとめる。

(5)設備保全技術者の利便性を考慮し、ガイドブック的な観点から作成する。現場においてニーズの高い個別劣化損傷の溶接補修については、できるだけ具体的な内容とする。

(6)我が国の主要法規における溶接補修に関する規定を示すとともに、米国の維持規格(溶接補修関連)についての調査結果を示す。

3.2 構成

指針の構成は以下のとおりである。

第1章 溶接補修一般

第2章 溶接補修方法

第3章 材料別溶接補修要領

第4章 劣化損傷と溶接補修における留意点

第5章 国内外の溶接補修に関する法規・規格

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本稿は,日本溶接協会誌「溶接技術」2010年7月号に掲載されたものです。

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