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「溶接用語事典」編集裏ばなし(その2)

「所変われば品変わる」

この表題の格言はいろいろな局面で現在も使われている。ところがこれまで私は少し間違えて解釈していた。同じ言葉でも、場所が変わると品(しな)、つまり対象物が変わるという意味だと思っていた。しかし「ことわざの読本」(小学館)によれば、それぞれの地域によって同じ品物が異なった言語で呼ばれるとの意味で使われる場合が多いとのことである(類例:難波の鯔は伊勢の名吉。名吉は「ぼらの別名)。「溶接用語事典」でも同義語問題ではしばしば悩まされてきたところである。今回は、英語表現の同義語の例をとりあげてみる。

1990年代中頃のことである。IIW(国際溶接学会)では、ヨーロッパ溶接連盟(EWF)で実施されていた溶接技術者資格制度をベースにして、IIWのスキームを構築し、より広汎な国際的制度に拡大していく検討が行われていた。EWFスキームでは、シラバス(教授内容)は4章からなり、それぞれ10〜20ぐらいの節に分かれ、さらにそれぞれの節は10個程度のキーワードで規定されていた。シラバスは文字通り教授内容であるから、溶接技術者が知っていなければならない知識を具体的に規定し、当然試験の対象にもなるものである。

これらのキーワードは適用対象国の増加や技術の変化に対応し、定期的に見直されることになっており、たまたまこの年が各国から追加要望を出す年となっていた。日本からは「TMCP鋼」、ロボットにおける「シミュレーション(Virtual Factory)」、「エレクトロスラグ肉盛溶接法」、「ケース・スタディにおける経済性の検討」など幾つかの項目を提案した。英国(TWI)からは摩擦攪拌溶接(FSW)などが提案された。


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