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放射線透過試験の最近の動向

ポニー工業株式会社
横 野 泰 和

1. はじめに

1895年に物質を透過する光(X線)をレントゲンが発見した後、医療分野では放射線を用いる検査が熟成されてきた。その後、次第に工業分野でも用いられるようになり、1950年以降には放射線透過試験(RT:Radiographic Testing)として非破壊検査の中心的な役割を担って現在に至っている。その技法はフィルムを用いた撮影方法が主流であるが、近年のITなどの周辺技術の目覚ましい発展により、種々の検出器を用いた新たなRT手法が実用化されつつある。本稿では、最近のRTのデジタル化の現状について概説する。

2. 放射線透過試験の原理1),2)

放射線透過試験は、図1のように放射線(X線又はガンマ線)を試験体に照射して、透過した放射線を反対側に配置したフィルムで検出して、ブローホールや割れなどの不連続部を撮影する方法である。放射線が透過した厚さによって透過写真上で濃淡の程度が決まり、ブローホールや割れなどの空隙は黒く、逆に内部に密度の大きい物質が存在すると白い像として現れ、試験結果は平面画像として得られる。

図1 放射線透過試験の原理

溶接部に放射線透過試験を適用する場合の撮影配置の一例を図2に示す。JIS Z 3104「鋼溶接継手の放射線透過試験方法」では、透過度計や階調計を同時に撮影し、透過写真の像質の良否を判定している。溶接部の放射線透過試験では、図3に示すように、ブローホールのような体積をもつ欠陥や溶込不良のような放射線が透過する方向に厚さの差がある面状の欠陥が黒い像として観察される。


図2 溶接部の放射線透過試験

図3 溶接部の放射線透過写真の例

3. 通常のカメラのデジタル化

最近ではほとんど見られなくなったが、アナログカメラでは図4のようにレンズを通過した光をフィルムに画像として記録し、さらに印画紙に焼付けて観察する。画像の細かさ(分解能)はフィルムの粒状性で決まり低感度のフィルムほど粒状性が細かい。通常の手札サイズの写真で粒状性が画像の鮮明度に影響を及ぼすことはほとんどない。


図4 アナログフィルムカメラの原理

デジタル画像の場合は、図5のように画素(ピクセル)を小さくするほど滑らかな実像に近い画像が得られるが、画素が小さくなるほど画素数を多くする必要があり、処理速度の低下やデータ記憶容量の増大につながる。


図5 デジタル画像の特徴

デジタルカメラでは、図6のように、レンズを通過した光をフィルムの代わりにCCDなどの撮像素子で電気的に画像を捉えて、このデータを記録メディアに保存して、自由に再現することができる。

なお画像の細かさ(分解能)は画素の大きさに依存し、ズーム(拡大)すると不連続な画像となることがある。一方、画像処理によって、コントラストや色合いを変更でき、最適な画像が得られるように調整が可能である。近年、処理速度やデータ記憶容量が飛躍的に改善され、十分に小さな画素で撮影することが可能となった。


図6 デジタルカメラの原理