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静的試験
―引張試験、曲げ試験、硬さ試験―

(2)ブリネル硬さ試験

ブリネル硬さ試験は、超合金球の圧子を用いて試験荷重と試験面に付けた圧痕の表面積から硬さを算出する試験法である。ブリネル硬さの値は、試験面に圧子を押し込んだ試験荷重を圧痕の表面積で除した、(3)式によって算出される。


  • HBW:超合金球圧子を用いて求めたブリネル硬さ
  • F:試験荷重(N)
  • D:圧子の直径(mm)
  • d:くぼみの直径(mm)

試験で用いる試験力は、規格で材質ごとに定められている。また、(3)式の示すとおり、硬さ算出の際に図10に示すような圧痕を読み取る必要がある。そのため試験片の表面は圧痕の直径を0.01mmまで読み取れる程度に平滑にしておく。


図10 ブリネル硬さ試験の圧痕

(3)ビッカース硬さ試験

ビッカース硬さ試験では、対格面136°のダイヤモンド製四角錐圧子を試験片表面に押し込んで、圧痕をつける。硬さの値は、図11に示すように 圧痕の対角線長さから求める表面積で圧子を押し込む試験荷重を除して算出する((4)式)。


  • HV:ビッカース硬さ
  • F:荷重(N)
  • d:くぼみの対角線長さの平均(mm)

図11 ビッカース硬さ試験の圧痕

以上で述べたように、硬さ試験は種類によってそれぞれ測定方法や定義が異なる。材料試験として硬さ試験を行う場合は、規格などで試験方法が定められている場合はそれに則るが、そういった定めのない試験を行う場合、目的に応じて試験方法を選択することになる。例えば、鉄鋼材料の硬さ試験を行うにあたり、フェライトとパーライトの複合組織の全体の平均硬さを知りたい場合は、圧子が複数の組織に跨って押し込みを行うブリネルやロックウェル、硬さの変化を線や面で連続的に把握したい場合はビッカース、さらにフェライト、パーライトそれぞれの組織で硬さの違いを把握したい場合には、微小な範囲で試験が行えるマイクロビッカースを用いるなどの使い分けが考えられる。

それぞれの硬さの値には近似的な相関関係があることが分かっており、ある程度の換算が可能である。ASTM E140には硬さ換算表が示されている。換算表によると、例えばある材料がロックウェル硬さ試験を行った結果が60HRBであった時、ビッカース硬さで107HVと同等であると読み取れる。

一方で硬さの値は、引張強さとある程度の関係もある事がわかっており、その関係は次に示す(5)式から求められる。



なお、上記の式は軟鋼などの加工硬化の小さい材料に関してのものであり、オーステナイト系ステンレス鋼などの様に加工硬化が大きい材料では、引張強さではなく0.2%耐力について同様の相関関係が見られる。

ところで、硬さ試験を行うにあたって注意が必要になるのが、試験片採取における熱的・機械的加工硬化である。試験片加工によって加工硬化がおこると試験を行ったときに硬さが本来の材料の値よりも大きくなり、正しい結果が得られない。その場合には、加工硬化が起こらない方法を用いて試験片から硬化した部分を削除するなどの工程が必要になる。


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