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第15回

相談例45.鋳鋼品(SCW480)の溶接について

SCW480鋳鋼品とSM490A(板厚32mm、溶接長350mm)を、YGW19ワイヤを用い、80%Ar‐20%CO2混合ガスシールドでマグ溶接する場合の、予熱温度と直後熱について教えて下さい。以前に、「SCW480は炭素当量が0.45%以下であるため、予熱温度は室温〜150℃」との記載を見た記憶があります。そこで、予熱温度を安全側の「150〜250℃」として溶接施工しようと考えております。この場合、直後熱は必要でしょうか? また、SM490Aに替わり、TMCP325B(板厚45mm、溶接長450mm)を溶接する場合の予熱温度と直後熱はどうなりますか?

回答

・低温割れ防止のための溶接予熱温度の決め方には種々の方法がありますが、溶接用鋼材に対しては溶接割れ感受性指数Pcが一般に広く用いられています。この方法は溶接予熱温度を、鋼材の化学組成、溶接金属の水素量および板厚から求めるもので、”新版改訂 溶接・接合技術入門”のP.103にPcの求め方が記載されています。正確にはP.104の図2-22に従って予熱温度を求めるのですが、簡便法として、予熱温度(Tp)=(1440 × Pc − 392)が広く用いられています。Pcの式に、使用するSCW48鋳鋼品およびSM490Aの化学組成、溶接金属の水素量(ガスシールドアーク溶接なので、2ml/100g を適用すれば良いと思います)および板厚を入れて、それぞれの鋼材の予熱温度を求めます。そして、高い方の予熱温度を実施工の予熱温度とします。Pcで求めた予熱温度が150℃以下であれば、「150〜250℃」の予熱は適切であると思われます。
・予熱に直後熱を併用すると、予熱温度を低減できる事が知られています。100℃程度の予熱の場合、予熱を省略し、直後熱のみで、低温割れを防止できるという実験データもあります。しかし、実施工において、直後熱に頼って予熱温度を下げることは、一般には行われていません。必要な予熱は必ず実施し、割れ易い場合にのみ直後熱を併用するのが、通常の溶接施工法です。相談の場合、必要な予熱を行っていますので、特に直後熱は必要ありません。
・TMCP325BはSM490Aよりも低温割れ感受性が改善されています。従って、SM490Aの場合と同等の溶接施工管理で十分です。