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「溶接用語事典」編集裏ばなし(その4)

前々号(第3号)では、IIW溶接技術者認証制度において実施されている4つの章からなるシラバス(教授内容)を紹介した。そしてこのうらばなしはその4つの章に準じてきたが、今回はその最終回(第4章:溶接施工・管理)である。

工業規格の変革

1990年代に入ってJISに大きな変革がおとずれた。従来、工業製品や関連する試験法等の工業分野のみを対象としてきたISOが、ISO 9000sや14000sに代表されるように、事業所等のマネジメントシステムを対象とするようになってきたのである。「マネジメントシステム」は当初「経営システム」と訳すことが考えられていたようだが、事業所の経営システムなどは企業にとって機密事項であり、門外不出のノウハウである。だからそれらを規格化するなどとんでもないことだとする意見もあったと聞く。ところが、1995年に締結されたTBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)では各国の国内規格をできるだけISOに整合させることが約束された。また、この頃から事業所認証、要員認証、プロセス認証、製品認証などの重要性が叫ばれ、規格化され、これらに関連する用語が多く使われるようになってきた。

溶接分野では、溶接がISO 9000で規定される「特殊工程」に該当すると考えられ、ISO 9001の溶接版ともいえるISO 3834「溶接の品質要求事項」が発行され、JIS化された。またこの規格を補完する多くの溶接(関連)規格が発行され、それに伴い多くの用語が誕生することとなった。

JISの溶接用語(JIS Z 3001)が第1部〜第4部まで整備(増強)され、2008年版として制定された。本事典では全てではないが、必要と思われるこのJIS用語は収録している。

このような背景から、溶接施工・管理、あるいはマネジメントに関する用語は非常に多岐にわたり、増加してきている。それにともない各用語の解釈や定義も複雑になってきている。

マネジメントとは、管理とは

前記のようにマネジメントは一般には「経営」と訳されてきた。一方「品質管理」の用語はQuality Control(QC)が基となっている。Quality Management(QM)とすべきだとする人もありISO 9000sでは品質マネジメントシステム(略称:QMS)となった。しかしながら、わが国では従来から品質管理には2つの意味を含ませてきている。一つはQCサークル等で実施している、あるいは統計的品質管理手法を適用した狭義の品質管理であり、もう一つは品質の維持と向上を経営方針の中心に据えた広義の品質管理(全社的品質管理)である。ISO 9000sに対応したJISでは広義の品質管理を意味するとの注釈つきで「品質マネジメントシステム(QMS)」としたようである1)


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