- 接合・溶接技術Q&A / Q01-01-04
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Q490MPa級鋼の強度が必要で,使用温度-20℃の容器を製作することになりました。溶接施工の面から考えて,どのような規格の鋼板を選定すればよいのでしょうか。
使用温度-20℃の容器において,490MPa級の引張り強さが要求される場合,まず強度面から適用可能な鋼板として,例えば以下のものを選定する必要がある。
●日本工業規格(JIS):
JIS G 31261)SLA360(低温圧力容器用炭素鋼鋼板)
JIS G 31152)SPV315(圧力容器用鋼板)
●日本海事協会規格3)(NK):
KD36(船体用圧延鋼材),KL37(低温用圧延鋼材)
次に要求される靱性面から鋼板を選定する必要があるが,鋼板に要求される靱性値は脆性破壊特性の観点から,使用温度,降伏点,板厚,使用応力,許容欠陥寸法などにより決定される。
日本溶接協会規格4)(WES 3003;低温用圧延鋼板判定基準)を例にとると,脆性破壊を一般的に考慮する使用温度-20℃の溶接構造物(容器)に保証降伏点:365MPa(保証引張強さ:490MPa相当)の鋼板(G種)を適用する場合,表1に示す温度以下で靱性が確保できる鋼板を選定する必要がある。なお,この場合の要求靱性値は,吸収エネルギーの平均値が最高吸収エネルギー値の50%以上と規定されている。
参考文献
1)JIS G 3126:低温圧力容器用炭素鋼鋼板2)JIS G 3115:圧力容器鋼板
3)日本海事協会規格
4)WES 3003:低温用圧延鋼板判定基準
〈小西 正人 / 2012年改訂[SI単位・規格]〉