接合・溶接技術Q&A / Q01-01-08

Q圧力容器の製作で応力除去焼鈍(PWHT)の規定があります。溶接材料はどのような特性のものを選ぶ必要がありますか。

ボイラおよび圧力容器の製作に溶接は不可欠のものであるが,その特徴としては使用材料が炭素鋼,低合金鋼および高合金鋼など種類が多いことと,高温での強度,クリープ破断強度,疲労強度,耐酸化性,耐食性,耐摩耗性などが要求される。ボイラ各部に使用する材料の選定については,施工面および経済的に最も有利な材料を選定するが,許容応力値は各法規および基準などに定められている。これらの数値は母材ばかりでなく溶接継手,曲げ,熱処理などの加工を受けた部分についても考慮すべきことは当然である。

一般に圧力容器本体の溶接は,長手にはエレクトロスラグ溶接法,周部にはサブマージアーク溶接法を適用していたが,現在はすべて狭開先マグ溶接法に置き代わりつつある。溶接材料の選定に当たっては,作業性にすぐれていること,高能率であることは勿論であるが,溶接金属の耐割れ性,熱影響部の硬さを考慮し,さらに万一事故が起きた場合の影響の大きいことから,溶接部の信頼性確保のための施工技術管理に万全を期す必要がある。具体的には,溶接金属の引張り強さが母材強度より高めになるように,溶接材料を選択するのが一般的である。ドラムの開先形状および施工条件の一例を図1に,ドラム付ノズルの開先形状とその施工条件の一例を図2に示す。

参考文献

1)(社)溶接学会:溶接・接合便覧,丸善(株),p.1369,(1990)

〈妹島 五彦〉

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溶接材料

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圧力容器

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