接合・溶接技術Q&A / Q01-01-17

Q780N/mm2級高張力鋼やCr-Mo系低合金耐熱鋼の溶接施工においては,一般鋼材の溶接とは違った施工上の制約があります。これら制約によって日程計画にどのような配慮が必要となるか教えて下さい。

高張力鋼や耐熱鋼では,予熱,入熱量の制限,PWHTなどの施工が必要となるので,工程計画に際しては全般的に施工上の制約が多いことに留意して立案することが重要である。この中で,日程計画の盲点となる項目として検査日程がある。

例えば,780N/mm2級高張力鋼やCr-Mo系低合金耐熱鋼の溶接施工においては,溶接終了後から検査までの放置時間が必要となる。すなわち,水素による遅れ割れの危険があるため,通常,溶接後48時間経過した後に非破壊検査を実施することが要求される。これは溶接金属中の拡散性水素の拡散,大気中への放出に時間がかかることから決められたものである。基本的には,この検査日程を考慮して施工計画を立案することが必要である。

しかし,現地工事などのように他の工程(例えば土木工事)との関係から,48時間の検査待ち時間がとれないこともある。このような場合には,溶接直後に溶接部を後熱すると拡散性水素の放出が促進され,低温割れを防止する効果が高まるということを利用して,検査待ち時間の短縮を図ることができる。直後熱温度は,高いほど加熱時間は短くて良い。200~350℃の温度で,30分~数時間(例えばHT780鋼で250℃,2時間程度)が一般的な直後熱条件である。このように,直後熱による脱水素処理を行った後で24時間放置して非破壊検査をするなど,放置時間短縮のための特別な処置がなされることがある。

〈原沢 秀明 / 2012年改訂[追記・字句]〉

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