接合・溶接技術Q&A / Q01-01-18

Q溶接設備計画について,主として溶接機器を設備する時に検討すべき点を,作業場所が固定される工場の場合と,作業場所が固定されない現地溶接工事の場合とに分けて教えて下さい。

一般に設備計画は,構造物の種類,生産量,品質レベル,施工方法,能率などによって決められるもので,工場・工事全体として受電容量,クレーン,作業環境を含めた設備計画であることが必要である。

溶接設備については,固定された作業場所で使われる専用機器は,その作業場所に設置される。必要台数は,その設備で処理すべき溶接量を稼動時間内での溶着量(1日当たりの平均溶着速度)で割ることにより計算できる。作業ステージがほぼ固定され,ステージでの作業量もほぼ一定であれば,必要台数および予備の設備で十分である。

また,造船の立体ブロック組立工場のように,作業場所を溶接技能者が数時間~数日のピッチで作業し,溶接設備をブロックの内外に移動させる場合には,可搬式の溶接設備(被覆アーク溶接機や炭酸ガス半自動溶接機など)が使用される。これらの設備は作業区画ごとに設置されるので,溶接技能者の数より余分の設備が必要となる。

一方,橋梁架設,建築建て方,化学プラント・配管工事などの現地溶接工事においては作業場所が固定されていない場合が多く,溶接設備も移動させなければならない。溶接機器の移動の簡便さを考慮し,防雨,防熱構造と合わせて溶接機器(電源,制御装置,ケーブル,トーチなど)を一括して格納できるコンテナが準備されることが多い。なお,溶接機器は電気設備なので,交流アーク溶接機の電撃防止装置や漏電遮断器などの安全機器も不可欠である。

一般に,必要な電源設備の容量は,溶接機を多数台使用する工場においては,交流アーク溶接機の場合,次式のように表される。

 Q = n・α・β・P (kVA)
ここで,
Q:電源容量,kVA
n:溶接機台数
α:使用率(アークタイム率)=アーク時間の合計/全時間
β:負荷率=実作業での平均使用電流/溶接機の定格二次電流
P:溶接機の定格一次入力=定格二次電流x無負荷電圧,kVA
例えば定格二次電流500Aの交流アーク溶接機(無負荷電圧80V)を60台,平均使用率(アークタイム率)40%,平均使用電流350Aで使用する場合は,n=60,α=0.4,β=350/500=0.70,P=500x80=40から,Q=672(kVA)と計算される。

したがって,約700kVA以上の受電変圧器の容量が必要となる。また,結線に際しては3相電源の負荷がバランスするように,3相の各線間に20台ずつを結線する。

炭酸ガス半自動溶接機用の受電容量も,これに準じた計算で求められる。サブマージアーク溶接機の場合,連続負荷を想定し,溶接機一次入力と台数の積を受電容量とすることが多い。

〈原沢 秀明 / 2012年改訂[追記]〉

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