- 接合・溶接技術Q&A / Q01-03-03
-
Q内圧を受ける胴の計算厚さを求める計算式は,どのようにして導かれたものですか。薄肉の円筒胴と球形胴について教えてください。
板厚算定式は,JIS B 8265「圧力容器の構造-一般事項」1) の附属書1(規定)「圧力容器の胴および鏡板」に示されている。これはASMEと同様,最大主応力説に基づいている。計算式はいくつかあるが,ここでは最も一般的な内圧を受ける内径基準の円筒胴と球形胴をとりあげる。なお,薄肉構造は直径に比べ厚さが十分小さい場合で,ほとんどのものが該当する。
図12) に円筒胴のモデルを,また使用する記号と単位を以下に示す。
|
P |
:設計圧力 (MPa) |
|
Di |
:胴の内径 (mm) |
|
|
:胴の計算長さ (mm) |
|
t |
:胴の計算厚さ (mm) |
|
σa |
:設計温度における材料の許容応力 (N/mm2) |
|
η |
:溶接継手効率 |
1. 円筒胴の場合 2)
図1に示す円筒モデルに,Pが作用している状態を想定する。
応力(σ)は荷重(L)を断面(A)で除して得られるが,円筒胴の場合,次の2つがある。
1)軸(長手)方向応力:σ1
σ1は,軸方向(周断面)に働く応力である。Lは円筒の中空断面の面積とPの積(L = πDi2 P / 4 ),Aは周断面の面積( A =πDi t )である。
|
σ1=πDi2 P / 4πDi t = Di P / 4 t |
(1) |
2)周方向応力:σ2
σ2は,周方向(長手断面)に働く応力である。Lは円筒の中空矩形断面の面積とPの積(L = Di
P),Aは円筒両側の矩形断面の面積(A = 2t
)である
|
σ2 = Di |
(2) |
σ2はσ1の2倍であり,長手継手に周継手の2倍の応力が作用することがわかる。tは(2)式より求めるが,Diは板厚の補正項を加えた(Di + m t )/ 2,σ2 はσa とηの積に置き換えると次式が得られる。m は板厚補正係数である。
|
t= Di P / 2 σ2 = P ( Di + m t ) / 2σa η |
(3) |
両辺のt を整理し,mを1.2にすると,
|
t=P Di / (2σa η-1.2 P) |
(4) |
となり,JIS B 8265の円筒胴の計算厚さが導ける。
2. 球形胴の場合2)
球形胴では,全方向に働く応力が同じで,それは円筒胴のσ1(軸方向応力)に等しい。円筒胴と同様の手順で整理し,mを0.4とすると次式が得られる。
|
t=P Di / ( 4σaη-0.4P) |
(5) |
となり,JISB8265の球形胴の計算厚さが導ける。

参考文献
1)JISB8265「圧力容器の構造-一般事項」,20032)新版溶接・接合技術特論(溶接学会編) 第4版,産報出版:第6章6.1ベッセル系構造物の設計pp490-492,2010
〈片山 典彦 / 2012年改訂[全面改訂]〉