接合・溶接技術Q&A / Q01-04-02

Q角変形はなぜ生じるのですか。また,角変形は溶接入熱や板厚でどのように変わるか教えて下さい。

溶接変形は,溶接加熱過程で局部的に生じる圧縮の残留歪みのために生じる。この局部的であることが必須で,角変形は,板厚方向に残留する歪が一様でないために生じる。板厚の表面にビードを置くような場合,溶接部近傍は加熱中に熱膨張するが,その変形が周りによって変形拘束され,圧縮の塑性変形が板厚の上部のみに生じ,冷却後板厚の上部に収縮変形が生じるために結果として角変形が残ることになる。

圧縮塑性変形が生じる領域と板厚寸法の関係で角変形量が決まる。その関係は,溶接入熱や板厚に関係することになる。角変形は,一定の板厚で溶接入熱が変化する場合,あるいは入熱一定で板厚が変化する場合ともに,ある入熱・板厚のところで最大値を持つような傾向を示す。図1は,板厚一定で溶接入熱を変化させた場合に中間的入熱で角変形が最大となることを定性的に説明したものである。

入熱Qと板厚hがともに変化したとき,角変形は,Q/hに依存し,図2に示すように変化する1)。入熱が大きくなるか,板厚が小さくなるにつれて,最初は角変形が大きくなり,溶接によって板厚の中心部の最高加熱温度が力学的溶融温度になるときに角変形が最大値を持つ。すなわち,Q/cρhc:比熱,ρ:密度)=πe/4(e:自然対数の底,~2)になるとき角変形が最大となる。

参考文献

1)佐藤邦彦,寺崎俊夫:溶接学会誌,Vol.45,No.2,p.150,(1976)

〈豊田 政男〉

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溶接変形

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角変形

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