- 接合・溶接技術Q&A / Q02-01-13
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Q溶接機の定格使用率と実際の使用電流はどのような関係となりますか。
溶接機の使用率とは,その溶接機を使用している時間に対して,実際にアークが出ている時間の比率を示している。一般に溶接作業は,アーク発生と休止とを交互に繰り返しつつ進められる。一方,溶接機側の主体をなすトランスの温度は,アーク発生中は上昇し,休止中は低下する。溶接機の容量はほぼこのトランスの容量で決まるので,ここから定格使用率が定められた。JIS C 9301では10分間のアーク断続周期において,定格二次電流を負荷した時間と全時間との比の百分率を定格使用率と定義している。定格二次電流と異なる溶接電流を使用するときの許容使用率は,
という式で求めることができる。
例えば,一般に市販されている500A型交流溶接機は,定格二次電流500A,定格使用率60%であるが,この溶接機を用いて,
① 400Aで使用したときの許容使用率は,
(500/400)2×0.6=0.93→93%となる。
② また,連続使用(即ち使用率100%)できる電流値は,
となる。
ただし,最近の溶接機は熱容量の小さい半導体のダイオードやサイリスタを用いたり,同じ溶接機でも使用する溶接モードによって定格電流や定格使用率が別途定めてあるものなど,この式がそのまま利用できない場合もあるので,注意を要する。
また,溶接トーチ,溶接ノズル,キャブタイヤおよびアース帰線にも各々定格電流,定格使用率などの許容値があるので,実用に当たっては装置全体で考えねばならぬことは言うまでもない。
〈飯塚 眞平〉