接合・溶接技術Q&A / Q02-03-26

Q銅および銅合金のうち工業的によく使用されている3種類の特性について教えて下さい。

(1) 銅

純銅は酸素の含有量により,少量の酸素を含有するタフピッチ銅(0.001~0.007%)と酸素含有量がほとんどない脱酸銅(0.008%以下)と無酸素銅(O.F.H.C.)とに分けられる。タフピッチ銅は酸素を含有し,電気伝導性が良好で,展延性も良好である。しかし,高温で水素により結晶粒界に分散しているCu2Oが還元されH2Oが生成し,水素ぜい性を示す。電気材料,化学工業用材料として用いられる。

脱酸銅はリンを脱酸剤として使用し,酸素量を0.01%以下に低減させている。リン脱酸銅の強度はタフピッチ銅と差はないが,電気伝導度はやや低下する。無酸素銅は水素還元または真空溶解によって製造され,残存酸素量は0.001%以下で,水素ぜい性も生じない。タフピッチ銅より展延性,耐疲労特性に優れ,電子材料として用途が広い。

(2) 黄銅

銅と亜鉛の合金で,純銅と較べて強度が高く,展延性に優れている。Znを30%含む7/3黄銅は加工性の優れたα固溶体合金で,Znを40%含む6/4黄銅はαβ2相合金で熱間加工性が良好だが,置き割れが生じやすい。ネーバル黄銅はSnが少量添加されたもので鋳造性が良好である。

(3) 青銅

一般にはスズとの合金で,主に美術・工芸品の用途が多い。リンを添加したリン青銅や砲金は強度と延性が高く,耐摩性が良好である。

アルミニウム青銅はAlとCuとの合金で,機械的性質,耐食性,耐摩性に優れ,船舶用品や各種化学工業用部材として用いられる。

白銅(キュプロニッケル)はNiとCuとの合金でNiを10%または30%含むものが用いられ,じん性に富み,耐食性,特に高温海水に対する耐食性が優れており,海水機器に用いられる。

参考文献

1)Metals Handbook,A.S.M.,化学機械溶接研究委員会技術資料集,(1995,1996,1997)

〈渡邊 竹春〉

このQ&Aの分類

銅・銅合金の溶接

このQ&Aのキーワード

銅・銅合金の特性

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