接合・溶接技術Q&A / Q02-03-30

Qどのような異種金属間の継手が固相接合法によって,実際に作られていますか。

固相接合法は,溶融溶接法に比較して異種金属間の接合を行いやすいことから,①鉄鋼材料と非金属材料,②非金属材料同士,③金属材料とセラミックスとの接合などに適用されている。Q2―3―29の表1に固相接合法の分類,特徴,用途例を示す。

(1) 圧接法

鉄鋼材料を中心とした熱間圧接法を中心として,一般治工具や道具類など広範囲に用いられる。

(2) 拡散接合法

変形が少なく,異種金属材料の接合を行いやすい。しかし,低圧雰囲気あるいは真空雰囲気が必要となるなどの実際施工上の困難が伴うので製品サイズが限られ,非鉄金属,とくにNi基耐熱合金やTi系材料など,特殊用途の比較的小型の製品に適用される。

(3) 摩擦圧接法

接合条件を一定にできること,断面円形の製品の接合には最適であるので,一般に実体(中実)丸棒同士の接合法として,ドライブシャフト,歯車,エンジンバルブ等の自動車部品,ドリルビットやリーマなどの工具類の製造法として重要である。また,近年,電機接点などCu系/W系部品の接合にも多用されている。また,一方が平板の製品や,中空形状(パイプ)の部品への適用もある。しかし,実際の摩擦圧接では,直径は数百mmくらいまでが限界となる。

(4) 液相拡散接合法(TLP法)

比較的新しい方法であるが,現場施工で安定した継手を得ることができるため,土木建築の鉄筋の接合や配管の周継手,ジェットエンジンのNi基耐熱合金製のタービンブレード,自動車の足回り部品の鋼材と鋳鉄材部品の接合など,用途が広がっている。

(5) 超音波接合法

加熱の必要がなく,さらに加圧が少ないこと,表面の酸化膜を破壊できるので接合物の表面処理が少なくてすむことなどの理由から,Al系箔材料のシーム溶接に適する。しかし,厚さの大きな材料の接合は困難である。現在では,プリント基板へのリード線の接合などに重用される。また,プラスチックシートの接合法として重要である。

〈冨士 明良〉

このQ&Aの分類

異種材料の接合・溶接

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固相接合法の種類

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