- 接合・溶接技術Q&A / Q02-03-32
-
Q融点や硬さなどの性質の大きく異なる異種金属の組合せを接合する場合,どのような注意が必要でしょうか。
異種金属の接合には,主として高温・真空中での拡散接合法,あるいは摩擦圧接法が用いられる。
(1) 拡散接合
拡散接合では加圧力が少ないので,接合性に及ぼす両材料の性質の差異の影響は少ない。ただ,融点の極端に異なる材料の接合においては,接合温度に注意が必要となる。つまり,融点の低い材料に合わせて接合温度を決定するので,融点の高い材料中での元素の拡散が進まず,接合は困難となることがある。
(2) 摩擦圧接
同種材の摩擦圧接の場合,接触面がバリとなって排出されるので,初期表面性状は接合結果に影響は及ぼさない。しかし,融点あるいは硬さが極端に異なる場合,それらの小さい材料が一方的に変形してバリとなって排出される。つまり,変形の少ない側の材料の初期接触面がそのまま接合面となるため,接触を行う表面の性状が大きな問題となる。また,変形の大きい側の材料の表面性状も接合結果に影響するとも考えられている。いずれにしても表面の接合前処理が必要となり,バフ研磨や表面のメッキなどが有効となる。とくにタングステン(融点3410℃)/純銅(1080℃)あるいは純アルミニウム(660℃)の組合せのように,余りにも融点の違いが大きい場合は直接接合することは困難であり,インサート材を使用する方法がとられる。
〈冨士 明良〉