- 接合・溶接技術Q&A / Q02-03-34
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Qどのような異種金属の組合せの接合が,容易あるいは難しいのでしょうか。また,その主な理由はどこにあるのでしょうか。
固相接合法に限らず,金属が接合されるためには清浄な金属原子を原子間引力により結合するまで近づける必要がある。そのため,圧接の場合は,接合界面の主として酸化皮膜を破壊し,裸の金属面同士を原子の距離で密着するように塑性変形を与える必要がある。また,拡散接合では,大きな塑性変形を与えない代わりに,接合面をあらかじめ清浄にしておき,真空下で表面が汚染されることを防ぎながら温度を上げ,元素の相互拡散で接合を行う。
常温圧接では,一般に接合に寄与する辷り方向の多い立方格子金属は六方格子金属よりも圧接性が優れ,さらに酸化被膜の硬さが母材の硬さに比較して大きいほど少ない変形で接合できると言われている。一方,高温の拡散接合では結晶構造は接合に対しそれほど大きな因子にはならない。
表1は,異種金属間の接合性を表したものであるが,あくまでも目安にとどめておく必要がある。異種金属の接合に関してはいまだに十分な報告がなされているとは言いにくい。これは,実験環境や条件が大きく影響すること,また実際使用上,企業秘密に属する製品への適用が多いことに起因している。
参考文献
1)Welding Work Book-Data sheet No.147a,Welding Journal,p.77,(1992.5)〈冨士 明良〉