接合・溶接技術Q&A / Q04-01-05

Qステンレス鋼においても低温割れは生じますか。

SUS304,SUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼では,低温割れは生じない。しかし,マルテンサイト系ステンレス鋼(例えばSUS410)や一部マルテンサイト組織を有するフェライト系ステンレス鋼SUS405,SUS430などでは,溶接により硬化組織を生成し,低温割れが発生する可能性がある。その割れの特徴として,マルテンサイト系ステンレス鋼ではクロム含有量が多く水素の拡散速度が小さいため,高張力鋼などに比べて低温割れ発生時期も遅くなる傾向を示すことが挙げられる。

二相ステンレス鋼においても,ステンレス鋼中のフェライト量が増えると,ガスシールドアーク溶接のシールドガスに水素添加した施工法を用いた場合に低温割れの危険性が指摘されている1)

図12)にはSUS410の低温割れ試験結果を示す。完全マルテンサイト系ステンレス鋼であるA鋼およびD鋼では低温割れが生じるが,予熱により割れ防止が可能である。なお,D鋼の割れ防止予熱温度が高いのは,炭素含有量が多くHAZの硬化性が高いためである。また,Al添加によりフェライト化を図ったE鋼では,低温割れの発生はない。

表13)にはSUS430の低温割れ試験結果を示す。高張力鋼の場合と同様に,拡散性水素量の低減や予熱により低温割れが防止できることが示されている。

 

参考文献

1)小川ほか:溶接学会論文集,Vol.8,No.4,p.481,(1990)

2)田中ほか:13Crステンレス鋼の溶接に関する研究,第12回溶接冶金研究委員会資料,(1968)

3)西尾ほか:三菱重工技報,Vol.7,p.812,(1970)

〈結城 正弘〉

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低温割れ

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ステンレス鋼の低温割れ

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