- 接合・溶接技術Q&A / Q06-08-03
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Qタフピッチ銅を溶接すると,ブローホール,割れ等が発生しやすいのですが,これはどうしてですか。
表1にJIS H 3100から純銅の規格を示す。この表に示すように,純銅は脱酸の方法(程度)により,無酸素銅,リン脱酸銅,タフピッチ銅に分類される。
タフピッチ銅の場合,通常0.04~0.07%の酸素を含んでいる。この酸素のために,Cu2Oが存在し,アーク雰囲気などの高温では,水素が銅内部に拡散し,反応を起こして水蒸気を発生する。
Cu2O+H2→2Cu+H2O
この水蒸気が外界へ拡散,放出できずにブローホールとなり,結晶粒界に集中した場合には割れを生じる1~3)。
また,Cu・Cu2O共晶が結晶粒界に析出し,溶接後割れを発生する3,4)。
参考文献
1)鈴木春義:最新溶接工学,コロナ社,p.308,(1990)2)溶接シリーズ編集委員会:銅,銅合金・チタンとその合金溶接のかんどころ,産報出版(株),p.17,(1978)
3)大前堯,吉田康之:溶接技術,Vol.34,No.2,p.36,(1986)
4)相原常男:溶接技術,Vol.43,No.8,p.72,(1995)
〈山本 佳克〉