- 接合・溶接技術Q&A / Q06-08-04
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Q純銅を溶接する場合の適切な溶接方法を教えて下さい。
銅は熱伝導性が大きく,炭素鋼の約8倍である。溶接に際しては,この高熱伝導性が作業性に大きく影響する。すなわち,熱伝導性が良好であるために,アーク熱が母材全体へ逃げてしまい,溶接部の局部的な加熱は難しく,十分な溶込みが得られなかったり,溶融金属が球状になりビードが形成できないことがある1~3)。
そこで,純銅を溶接する場合には予熱が必要となる。TIG溶接,MIG溶接する際の注意点および溶接条件の一例を以下に示す3~6)。
(1) TIG溶接
●直流正極性で溶接する。
●タングステン電極の先端は鋭く,清浄な状態で溶接する。また,Th入りタングステン電極の方が大電流での溶接が可能であるため望ましい。
●V形あるいはU形の開先を用いる。
(2) MIG溶接
●直流逆極性で溶接する。
●シールドガスは一般的にArガスを用いる。
ここで,Arガスの代わりにN2ガスを用いると,N2の解離熱が発生するため,深い溶込みが得られ,予熱温度の低減に効果がある。
また,Heガスを用いた場合も,予熱温度を下げることができる。この他Ar+Heなどの混合ガスも使用される。
●U形開先を用いるのが望ましい。


参考文献
1)相原常男:溶接技術,Vol.43,No.8,p.72,(1995)2)大前堯,吉田康之:溶接技術,Vol.34,No.2,p.36,(1986)
3)銅,No.32,p.3,(1981)
4)溶接シリーズ編集委員会:銅,銅合金点チタンとその合金溶接のかんどころ,産報出版(株),p.71,(1978)
5)田中一雄:配管技術,Vol.25,No.2,p.51,(1983)
6)(社)日本溶接協会 特殊材料研究委員会:金属材料溶接・接合施工データ集’94
〈山本 佳克〉