接合・溶接技術Q&A / Q07-01-15

QCO2・マグ溶接のスパッタは,どのようにして発生するのでしょうか。

CO2・マグ溶接では,図1.に示すように,アークによってワイヤ先端に形成された溶滴が溶融池に短絡すると,それにともなう電流の増加によって短絡が解放され,再びアークが発生するといった現象を繰返します。短絡を解放してアークが再生する際には,ヒューズの溶断時にその一部が周辺に飛び散るのと同様に,溶滴や溶融池の一部が周囲に飛散してスパッタとなります。

その他,アーク期間中に溶滴や溶融池から発生するスパッタもあり,大別すると,CO2・マグ溶接で生じるスパッタの発生形態は図2.に示す4種類に分類されます。

(a)は,上述のように,短絡の解放にともなって発生するスパッタ

(b)は,アーク期間中の溶滴が極めて短い時間(1~2ms以下)溶融池へ接触する瞬間的短絡によって生じるスパッタ,

(c)は,溶滴中に生成したガスの急激な膨張によって,あたかも風船の破裂のように,溶滴内でガスの爆発が生じて,その一部が飛散して生じるスパッタ (d)は,溶融池のガス放出にともなって,溶融池金属の一部が飛散して生じるスパッタです。

これら4種類のスパッタの発生頻度は図3.のようであり,小電流域では短絡の解放に起因したスパッタ(a)が大部分を占めますが,中間電流域では短絡解放時のスパッタ(a)の他に,瞬間的短絡によって発生するスパッタ(b)の比率も相当高くなります。

溶滴内のガス爆発に起因したスパッタ(c)の発生頻度は,電流値が変化してもほとんど変わりませんが,溶融池のガス放出にともなうスパッタ(d)は電流値によって異なっています。これは,ワイヤの種類によるもので,YGW11ワイヤに添加されているTi(チタン)などの効果であろうと推察されます。

〈三田 常夫 / 2012年新規〉

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