接合・溶接技術Q&A / Q07-09-03

Qロボット間のデータ(プログラムや位置情報など)の互換性はどの程度があるのでしょうか。

(1) 同じメーカの同じタイプのロボット間でのデータ互換

基本的にはそのまま使えるが,ロボットの設置位置誤差を吸収するために,ロボットとワークとの相対位置関係の補正が必要である。最近のロボットでは,この機能を持っているものが多く,3mm以内程度の誤差で狙い位置が再現できるので,簡単なティーチング修正で溶接が可能になる。

一方,溶接電源や,送給装置のばらつき,パワーケーブル長の違いなどにより,溶接条件の実際値が異なってしまう場合がある。これもロボットの方で,溶接条件の教示値に対して,実際に溶接電源や送給装置に指令する価の変換テーブルを持っているので,それを修正してやることで,教示データが使えるようになる。

(2) 同じメーカの違うタイプのロボット間でのデータ互換

データはそのまま使えるが,上記の内容に加えて,ロボットの動作範囲の違いで,指定された位置に動けなかったり,コンジットなどのケーブルが絡まってしまったりする場合がある。また,位置決めポイント間の移動経路が異なり,外部のジグと干渉してしまうことも考えられる。ブロック運転等の低速運転で全教示点を確認し,必要に応じて教示修正せねばならない。

(3) 異なるメーカのロボット間でのデータ互換

図1に教示プログラムの一例を示すが,残念ながらほとんど互換性がないのが現状である。さらに,図1のようにティーチングペンダントには教示プログラムが文字形式で表示されるのに対し,実際にはそれをロボットが実行できる形式に変換されて動作している。ただし,これに対しては,ロボットメーカから文字形式の教示データのフォーマットが公開されているとともに,文字形式をロボットの実行形式に変換するソフトウェアが提供されている場合がある。

教示プログラムのうち,位置情報に関しては基本的な考え方がほぼ同じであるため,変換することは技術的には可能である。最近のロボットでは,図2に示すような座標系が用意されており,その座標系におけるトーチ先端位置の3次元位置・姿勢情報が教示プログラムの中に記憶される。位置については,その座標系でのXYZ座標値で表せるが,姿勢についてはオイラー表現かロールピッチヨー表現でのfθΨが用いられる。座標系の定義と姿勢表現方法が同じであれば,情報として互換性があることにより,あとはフォーマットの違いを変換すれば,基本的にはデータ互換が実現できる。

〈山本 英幸〉

このQ&Aの分類

溶接ロボット

このQ&Aのキーワード

データの互換性

Q&Aカテゴリ一一覧