接合・溶接技術Q&A / Q07-09-05

Q溶接ロボットを無人で連続運転するために解決すべき点は何ですか。

溶接ロボットを使用した自動システムであっても,溶接作業の性質上,人間が分担している部分は意外と多く,これを無人化するには以下の点を解決する必要がある。

(1) 段取りの自動化

予め精度等の品質について溶接前に検査されたワークピースの搬入,搬出およびその正確な位置決めとセッティング,更には多品種のワークピースを1台のロボットで混在させて溶接する場合には,その認識とロボットの作業プログラムの選択を自動化する必要がある。これらについては,既存技術の組み合わせにより,ある程度の無人化は実用化されている。

(2) 溶接品質の確保と検証

ワークピースの精度のバラツキによる溶接線のズレをセンサにより自動補正する機能,および実際の溶接条件を監視し,それが規格をはずれた場合には補修する機能が必要となる。これらについても,一部の装置ではその機能を備えているものもある。

また,溶接後の品質について自動的に検査する手段も必要となるが,この工程は現在のところ,作業者の目視検査に頼っている場合が多い。

(3) 溶材,消耗品の補充

溶接作業においては,溶接ワイヤ,シールドガスなどの溶材,およびコンタクトチップなどの消耗部品の補充,トーチノズルの清掃などの作業が不可欠である。これらの作業は人間が行うには容易な作業であるが,完全な自動化にはコスト的な制約が多い。

人手による定期的な補充が一般的である。

(4) 異常発生時の処置

ワイヤの溶着などの,いわゆるチョコ停と呼ばれる軽微な異常からロボットの重故障に至るまで,無人運転中に発生するさまざまな異常に対して,それをリカバリする手段を構築する必要がある。

〈射場 達也〉

このQ&Aの分類

溶接ロボット

このQ&Aのキーワード

無人化運転

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