接合・溶接技術Q&A / Q07-09-07

Qロボット溶接にしたら手直しが多くて困るというような場合,手直しを少なくするにはどうすればよいのでしょうか。

人間が溶接をする場合,目で見て狙い位置や条件を変える。これに対してロボットは予め設定された条件で画一的に溶接してしまうところに問題がある。手直しを減少させるロボット機能を紹介する。

ワーク精度が悪い場合,溶接開始点を正確にするため,図1に示すようにXYZの3方向からワイヤで部材をタッチして補正する機能と開先の中央をサーチする機能を使う。部材寸法精度を考慮する場合には,溶接長センシングも行う。薄板の場合ワイヤの先端であたることができない場合レーザセンサでサーチする方法が取られる。

部材の曲がりや溶接中の歪みがある場合には,図2に示すように,ウィービング中の電流変化を利用して開先中央を探すアークセンサが使われる。ウィービング回数には限度があるので,高速溶接で追随性能をよくするために,高速でワイヤを回転させるアークセンサが使われる。薄板の場合には開先の壁がアークで溶かされてしまうので,アークセンサが使えない場合があり,このようなケースではレーザセンサが用いられる。

厚板の突合せ溶接では,ギャップ変動に対応するため,図3に示すように,開先幅をワイヤ先端で測定して,ウィービング幅と溶接速度を開先幅に応じて変化させ,健全な溶込みと余盛り量を得られるようにする。溶接中にアークで開先の壁を検出しながらリアルタイムに幅を倣うセンシング方式も使われる。

下向き溶接が最も溶接条件裕度が高いので,ワークをポジショニングするポジショナを使うと,溶接品質が向上する。とりわけ曲線の溶接には,ロボットとポジショナの協調制御を用いると便利でありかつ溶接品質の確保が容易である。

薄板の場合には,プレス精度などからギャップが変動し,溶落ちが発生する。溶込みを制御できる溶接電源(極性を変えて母材への溶込みを変化させることのできる電源)を用いて,ギャップの変化に応じて予めプリセットされた条件でロボット溶接することにより,溶落ちを緩和する方法も用いられている。

以上に述べた,各種センサを用いることで,手直しが減少できるが,ワークの精度や位置決め精度を向上させることも大切である。

〈丸山 徳治 / 2012年改訂[字句修正]〉

このQ&Aの分類

溶接ロボット

このQ&Aのキーワード

手直しの減少製品名:溶接ロボット材質:一般施工法:マグ・ミグ溶接

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