接合・溶接技術Q&A / Q07-09-08

Qロボットを置き換える(更新する)場合,どんな課題が発生するのでしょうか。

更新する場合には,ロボットのみを置き換える(更新する)場合と,周辺装置を含めたロボットシステムとして置き換える(更新する)場合とがある。また,同じ機種に置き換える(更新する)場合と,新機種に置き換える(更新する)場合とがあり,それぞれ課題が発生する。また,周辺装置には多くのものがあるが,ここでは,ロボットを移動走行させるロボット移動装置,および被溶接物を適正な溶接姿勢に回転,保持するポジショナとの関係のみに限定して説明する。

(1) ロボットのみ更新の場合(同機種の置き換え)

ロボットマニピュレータの機体差(個々のロボットでの機体寸法誤差),およびロボットマニピュレータの据付け誤差により,それまで使っていたティーチングデータの若干の修正が必要。図1に標準的な溶接ロボットマニピュレータの構成を示す。

(2) 同機種で周辺装置を含めた更新

基本的には(1)項と同じだが,周辺装置の精度は,余り高くないので,ティーチング修正作業工数が増加する。

(3) ロボットのみ新機種に更新

① ティーチングデータの問題:一般的には,旧ロボットマニピュレータと新ロボットマニピュレータでは寸法が異なり,ティーチングデータは作り直しになる。ティーチング作業工数を新規にデータを作る程度に見積もる必要がある。

② バージョンアップなどが織り込まれているケースは新機能の使い方,操作の仕方など,オペレータの再教育が必要。

③ 適用率の問題:ロボットマニピュレータ寸法が異なると,ロボットが適用できる範囲が変わるので,予め検討が必要。

④ 周辺機器との関係:

●ロボットコントローラでの制御できる軸数の確認が必要。制御方法,軸数が変わり,これまで制御できた周辺装置が制御できない,軸数が足りないなどの問題を起こす場合もある。

●ロボットコントローラの入出力点数の確認が必要。ロボット周辺装置には,ON-OFF制御により駆動するものがあるが,入出力点数が減るとこれまで制御できた周辺装置もできなくなる。

●周辺装置を駆動するモータ,エンコーダなどの位置制御機器がソフト的,ハード的に新ロボットコントローラ制御方式と合わない場合がある。この問題が生じると致命的な問題となるのでロボットメーカと予め慎重な打合せが必要。場合によっては,周辺装置のモータ,エンコーダなどを,新ロボットにあった物に交換する必要がある。

(4) 新機種と新周辺装置に同時に更新する場合

ティーチングデータ,オペレータの再教育,適用率の問題は,(3)項と同じ。周辺装置も新機種なので,ロボットと周辺装置の関係での問題はないが,設置スペースなどは確認しておく必要がある。

参考文献

1)竹内直記,菅哲男:大型構造物ロボット溶接教本―建築鉄骨,造船,橋梁,成山堂書店,p.10,(1998)

〈竹内 直記〉

このQ&Aの分類

溶接ロボット

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ロボットの更新

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