- 接合・溶接技術Q&A / Q07-10-10
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Qガス切断,プラズマ切断,レーザ切断の原理を教えてください
簡単な原理図を図1に示します。以下,その概略を説明します。
①ガス切断法
酸素と金属の酸化反応を利用して行う切断法です。熱切断法の中では,歴史が最も古い切断法です。しかし,その適用範囲は,ほぼ軟鋼,低炭素鋼,その他二,三の金属に限られます。
ノズル(火口)の先端で形成された火炎(予熱炎*1)を用い,切断開始部を発火点以上に加熱し,そこに酸素(切断酸素)を吹きかけ,酸化反応を起こさせるとともに,溶融した酸化物および金属を切断酸素気流がもつ運動エネルギで吹き飛ばして切断を行います。 原理的には,金属との酸化反応熱を利用していますので,酸素が届く範囲が切断可能となり,厚板の切断には有利な切断法です。
②プラズマ切断法
アーク放電による電気エネルギを利用して行う切断法です。開発当初は,金属,非金属いずれの材料にも適用できるとして,脚光を浴びましたが,現在では,ほとんど,金属の切断に限定されています。
この切断法は,長らく,ガス切断が適用できないアルミニウムおよびアルミニウム合金ならびにステンレス鋼の切断に用いられていましたが,活性ガス(空気,酸素)が使用可能なプラズマ切断法が開発された後は,軟鋼,低炭素鋼の主要な切断法となっています。
原理的には,熱エネルギを切断材の上面から供給する方式ですので,供給エネルギの制約から,切断板厚が増大すれば,切断が困難となります。
③レーザ切断法
熱切断の分野では,最も新しい切断法です。基本的には,虫眼鏡の原理そのものですが,この切断法の最大の特長は,金属,非金属を問わないということです。開発当初,レーザ出力も小さく,従来技術であるガス切断,プラズマ切断が適用できない薄板の切断が対象でしたが,近年,出力の増大とともに,中厚板の分野では,ガス切断,プラズマ切断と肩を並べる程度の実力を備えるようになってきています。
*1 JIS Z3001 溶接用語(7310)
参考文献
1) 要説 熱切断加工のQ&A 日本溶接協会 ガス溶断部会〈村上 睦尚 / 2012年[新規]〉