接合・溶接技術Q&A / Q08-07-11

Q接着剤でものとものとはなぜくっつくのですか。

ものとものとがくっつくという現象は,ものとものとが接する界面に何らかの相互作用力が存在するということで,この相互作用力については古くからいろいろの説が提唱されている。1つは機械的結合説と言われるもので,接着剤が被着体の凹部に流入固化して界面が結合するというものである。アンカー効果とか投錨効果とか呼ばれている。

2つ目は,接着接合には「ぬれ(Wetting)」が重要な役割を果たしていて,分子間の親和性つまり分子間力が界面の相互作用に大きな役割を果たしているというものである。そのほか,接合界面に電気二重層が形成されていて,その静電引力によりくっついているというもの,界面における高分子の相互拡散が界面の相互作用力であるというもの,化学結合が界面に存在するというものなどがある。

実際の接着接合においては,接着剤と被着材との組合せにより,それぞれ特有の相互作用が存在する。したがって,上述の理論も,ある接着系では適用できても別の接着系では全く無力ということが多い。

しかし,界面が存在するかぎり必ず存在する相互作用力がある。分子間力による相互作用がそれである。したがって,くっついている力は,分子間力プラスアルファと考えればよい。アルファは,アンカー効果,拡散,静電気,化学結合などである。

ベースとなる分子間に働く力としては,水素結合力とファンデルワールス力がある。水素結合は,窒素,酸素,フッ素などと結合した水素が,窒素,酸素,リン,硫黄,フッ素などと結合を形成するもので,若干の共有結合性も有するため,ファンデルワールス力より相互作用は強い。

ファンデルワールス力は,永久双極子―永久双極子間の相互作用力に基づく「永久極性効果」,永久双極子とそれによって誘起される双極子との間の「誘起極性効果」,電子の瞬間的な偏在によって生成する双極子間の相互作用に基づく「分散力」からなる。それぞれの大きさは,分子の双極子能率,分極率,イオン化ポテンシャルおよび分子間の距離から計算できる。ファンデルワールス力を形成する3つの要素の概念図を図1に,その結合エネルギーを,化学結合,水素結合とともに表1に示した。

参考文献

1)日本材料科学会編:接着と材料,裳華房,p.7,(1996)

〈三刀 基郷〉

このQ&Aの分類

接着

このQ&Aのキーワード

接着の作用

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