- 接合・溶接技術Q&A / Q10-01-03
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Q国内の製鋼工場の連続鋳造用ロール(CCロール)は,耐用度延長のために耐熱耐摩耗用の材料があらかじめ溶接肉盛されているということですが,どのような材料が肉盛されているのでしょうか。
CCロールは,ご承知のように繰り返し加熱冷却を受ける厳しい条件で使用されているロールであるから,ロールには次ような性能が要求される。
① 耐熱耐摩耗性に優れていること。
② 耐酸化耐食性に優れていること。
③ 繰り返し加熱冷却に対し耐用度の優れていること。
④ ロール表面にヒートクラックが発生しにくいこと。
⑤ ヒートクラックが発生してもクラックが進展しにくいこと。
したがって,各製鋼所のCCロールは,新作の時点からロール表面に適正な溶接材料で肉盛溶接するのが常識となっている。
ロールの径の大きさによって,ガスシールドアーク溶接,サブマージアーク溶接,帯状電極肉盛溶接などによる全自動溶接で肉盛溶接している。
上記要求性能に応えられる溶接材料としては,Cr:12~17%,Ni:2~6%の含ニッケル高クロム系ステンレス鋼が一般的に採用されている。
CCロールの肉盛溶接は新作の場合だけでなく,むしろ補修再生が盛んに行われている。
補修の場合は,ロール表面に発生しているヒートクラックが皆無になるまで表面を削除する。
ロール本体まで割れが発生している場合は,その割れ部は局部的に完全に除去し,その部分についてはロール本体と同様の強度と靱性が得られる溶接材料で肉盛再生する。
〈東 雅弘〉