接合・溶接技術Q&A / Q10-04-07

QSRC鉄骨現場の柱柱溶接継手(フランジ板厚25mm)に3mmの食い違い(目違い)が発生しました。修正を試みましたがこれ以上の直しができないのでこのまま溶接することになりましたが,この場合の溶接上の注意点を教えて下さい。

突合せ継手の食い違いは,JASS-6の付則6.鉄骨精度検査基準,付表1工作および組立,(3)突合せ継手の食い違い(e)によれば,

●管理許容差

 

t≦15mm:e≦1mm

t>15mm:e≦t/15かつe≦2mm

 

●限界許容差

 

t≦15mm:e≦1.5mm

t>15mm:e≦t/10かつe≦3mm

 

となっている。

質問の内容から限界許容差のe≦3mmに該当する。裏当て金を使う場合と両面から溶接するケースがある。

両面から溶接する場合は,図1に示すようにテーパー(傾斜1/2.5以上)の形状に溶接で仕上げる。裏側は,表側の初層を裏はつりを行ってから裏側より溶接し,表と逆の傾斜を付けるようにする。

裏当て金を使用する場合には,裏当て金を2分割にして,目違いの状態(+or-)により図2および図3のケースがある。

図2は,「-」目違いでは図示の要領で裏当て金を取り付け,そのまま溶接する。仕上げ層では,1/2.5の傾斜に仕上げる。

図3は,「+」目違いの例であるが,裏当て金の取付け方法による違いを示す(図3(a),(b))。

図3(a)のケースは,ルート間隔が適正であればそのまま溶接を行い,仕上げ層は,1/2.5以上の傾斜になるように溶接する。

図3(b)のケースは,下側フランジの裏面(ルート部)まで溶け込むように一度ガウジングで裏当て金の一部をはつり取ってから溶接を行う仕上げ層は図3(a)のように1/2.5の傾斜に仕上げる。

参考文献

1)(社)日本建築学会:鉄骨工事技術指針・工場製作編,(社)日本建築学会,p.523,563,(1996)

2)(社)日本建築学会:建築工事標準仕様書 JASS―6 鉄骨工事,(社)日本建築学会,p.31―32,(1996)

〈松本 正巳〉

このQ&Aの分類

柱溶接継手

このQ&Aのキーワード

目違いの溶接製品名:建築鉄骨材質:SN400A/B/C,SN490B/C施工法:被覆アーク溶接,セルフシールドアーク溶接,ガスシールドアーク溶接

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