接合・溶接技術Q&A / Q10-05-05

Q溶接構造物を搬送中,誤って落下させてしまいました。たいした破損でもなかったのですが,各部分を点検したところ,溶接部近傍に亀裂があることが分かりました。落下によるものか溶接によるものかは不明ですが,補修法はどうしたらよいでしょうか。

溶接部近傍に発生した割れの場合,発生した時期,割れの形態を見極める必要がある。割れの発生時期の推定は難しいことだが,まず,割れをよく観察することから始める。割れた部分に錆が発生していたり,周辺に汚れが見られる時は,今回の事故によるものでなく,以前に発生したものと判断される。比較的きれいな場合は,今回の事故によるものと考えられる。いずれの場合でも,今後更に割れが進むと判断されるため,補修することが必要である。

補修は割れの長さを見極め,余分に除去する。開先の形成も割れの長さより余分にし,開先部を清掃した後,低水素系被覆アーク溶接棒にて溶接し,溶接後グラインダでビードを除去しておけばよいと思われる。通常の構造物であれば軟鋼を使用していると思われるので,溶接棒はJIS D 4316でよいであろう。また,厚板になると拘束状態により,補修溶接部に新たな割れが発生することもあるため,拘束状態に考慮する必要がある。

〈宇田川 次男〉

このQ&Aの分類

亀裂破損

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診断と補修製品名:機械装置架台

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