- 接合・溶接技術Q&A / Q10-05-07
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Q土砂による摩耗を受ける部分を現地で硬化肉盛溶接で補修したいとき,どのようなことに気を付けなければなりませんか。
摩耗を受ける部分の部材は,通常,耐摩耗性を持つ特殊鋼を用いる例が多い。したがって,肉盛溶接を実施するに当たっては,やはり材質を明らかにすることが必要となってくる。
次に,現地作業になってくると製作工場内の作業に比べ,環境が異なってくる。特に風,雨,温度等の天候対策を十分行う。また,厳冬期の場合は特に溶接時の温度に注意を払う必要がある。
材質が明らかになったら,それに適合した施工条件にて溶接を実施することになる。耐摩耗鋼では焼入れ性もよく溶接部も容易に硬化するため,割れ発生の危険が伴うので予熱が必要となる。この時,急激な加熱にならないように注意することと,温度管理を確実に行うことが重要である。温度の測定のためには,市販の温度チョークを用いてもよいが,より温度状態を把握しやすい接触式温度計の使用が好ましい。
〈宇田川 次男〉