接合・溶接技術Q&A / Q10-07-11

Qステンレス鋼の裏波溶接におけるN2ガスバックシールドの適用性を教えて下さい。

配管をはじめ,溶接においてバックシールドに使用するガスの量は膨大である。一般に,窒素ガスはアルゴンガスに比較して安価なため,バックシールドに使用できれば経済的なメリットは非常に大きい。

窒素ガスによるバックシールド採用についての可否は意見が別れるところであるが,以下のような実験結果から適用可能と判断する。

① ビード外観

滑らかで金属光沢を有した裏ビード面となり,アンゴンシールドと同等の外観を示す。

② X線性能

ブローホール等は問題ない。

③ 窒素量およびフェライト量

アルゴンの場合に比較して窒素ガスによるバックシールドの場合は,裏波ビードの窒素量が若干多くなる。フェライト量も低下するが高温割れが発生するほどの低下は見られない。

④ 機械的性能

アンゴンでバックシールドした場合と同等の機械的性能を有する。

⑤ 耐食性

特に問題はない。

ほとんどの溶接施工では,バックシールドにアルゴンガスが使用されているが,一部配管溶接等で窒素ガスシールドが使用されているようである。窒素ガスシールドの採用に当たっては関係者間で確認した上で採用するのが望ましい。

〈相原 常男〉

このQ&Aの分類

ステンレス鋼裏波溶接

このQ&Aのキーワード

N2ガスバックシールド

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