- 接合・溶接技術Q&A / Q11-03-27
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Q高圧ガス容器は使用上どのような注意をしたらよいか教えて下さい。1)2)3)
ガス切断では,酸素および可燃性ガス,プラズマ切断では,酸素,アルゴン,水素など,また,レーザ切断では,酸素,窒素,アルゴンなどの高圧ガス容器を取扱うが,それらの高圧ガス容器の取扱い上の注意点を次に示す。*1。
1)次の場所には,設置,使用,貯蔵,または放置してはならない。
イ 通風または換気の不十分な場所
ロ 火気を使用する場所およびその付近
ハ 火薬類,危険物その他の爆発性若しくは発火性の物または多量の可燃性の物を製造し,または取り扱う場所およびその付近
2)直射日光を避け,容器の温度を40℃以下に保つ。
3) 寒冷地ではLPガスなどの放出を早めるために,容器を温水中で加温してもよいが,容器表面積の20%以上が温水につかることがないようにする。また,温水の温度は40℃以下に保つようにしなければならない。
4)転倒のおそれがないように保持する。
5)溶解アセチレン,LPG,炭酸ガス容器など液体が入っている容器は,立てて置く。
6)衝撃を与えない。
7)使用するときは,容器の口金に付着している油類およびじん埃を除去する。
8)バルブの開閉は,ハンドルまたは専用のスパナで静かに行う。
9)バルブは,使用中十分に開いておく。ただし,アセチレンの場合は,アセトンなどの溶剤の流出を防止するために最大1.5回転程度でとどめておく。
10)溶接または熱切断用のアセチレンガスの逆火,漏えい,爆発などによる災害を防止するための措置を講じて行う*2。
11)溶接または熱切断用の天然ガスの消費は,当該ガスの漏えい,爆発等による災害を防止するための措置を講じて行う*2。
12)ガスの使用を一時中止するときは,容器弁を閉じておく。
13)使用前または使用中の容器とこれら以外の容器との区別を明らかにしておく。
14)使用済の容器は,容器内にわずかのガスを残し,容器弁を確実に閉じ,ガス漏れがないことを確かめた後,キャップを装着しておく。
15)空の容器であっても,ガス切断の台,ローラ,てこの枕,棒曲げの道具などに使用するなど,容器本来の目的以外に絶対使用しない。
16)運搬するときは,キャップを施す。
*1 ここでは,高圧ガス容器単体に関する注意事項を記す。大量に保管,すなわち,高圧ガス保安法で規定される「貯蔵所」の場合,さまざまな規制を受ける。詳しくは,高圧ガス保安法を参照,もしくは,ガス供給業者に問い合わせる。
*2 この二つの注意点は,一般高圧ガス保安規則の例示基準に記載されている事項である。
参考文献
1) 労働安全衛生規則第263条(ガス等の容器の取扱い)2) 一般高圧ガス保安規則第60条(その他消費に係る技術上の基準)
3) ガス溶接・溶断作業の安全 p36,37,38 中央労働災害防止協会,平成19年3 月
4) 要説 熱切断加工の“Q&A”6.1.19,p.256,日本溶接協会 ガス溶断部会
〈ガス溶断部会 / 2012年[新規]〉