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 1.はじめに

溶接材料に関する国際規格(ISO)の制定・改正は、IIW(International Institute of Welding)及びISO/TC44(溶接)/SC3(溶接材料)で審議しており、我が国では、国内審議団体である(社)日本溶接協会の溶接棒部会が担当して推進している。その概要は、最新技術情報「溶接材料関連ISO/JISの動きと注意点(国際整合化に基づくJIS改正)」で紹介したが、主要溶接材料に関するISOはほぼ整備され、現在は発行済みISOの改正審議に移行している。また、そのISOに整合したJIS改正も(社)日本溶接協会の溶接棒部会が担当して実施しており、個々のJIS改正内容は、最新技術情報「溶接材料JIS改正内容の解説」第1回から第7回までの連載にて紹介した。 

本稿では、上記連載にて解説した溶接材料JISの改正公示に係る最新状況を報告する。

 2.溶接材料ISOの整備状況

溶接材料のISO規格については、最新技術情報「溶接材料関連ISO/JISの動きと注意点(国際整合化に基づくJIS改正)」で紹介したように、主要溶接材料は従来JISにない「Ni-Ni合金用フラックス入りワイヤ」を残して発行されている。表1にアーク溶接材料ISO規格の作成状況を示す。制定されたISOは、実務運用時に問題点が生じる可能性があるため、3年経過後に見直す(通常は5年見直し)こととなっており、表1の審議状況欄に記載したように、定期見直しが多くのISOで実施されている。我が国では、現在、ISO整合化JIS改正審議の真最中にあるが、その時点で明らかとなったISO問題規定の是正のための改正をISOに提案している。なお、表1のステンレスより上部の材料区分溶接材料ISOは、欧州(EN)規格「System-A」と日米を含む環太平洋規格「System-B」との共存規格で構成されており、その他は国際一致規格となっており、「System-B」は、日米で分担して作成している。また、溶接材料ISO作成の前提条件として、その試験方法を国際一致で決めており、そのISO及びISO整合化JISを表2に示す。

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本稿は,日本溶接協会機関誌「溶接技術」2010年4月号に掲載されたものをもとに,
直近の動向を踏まえ一部修正しております。記述内容は2010年3月末日現在のものです。

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