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 1.はじめに

JIS Z 3211は,軟鋼用被覆アーク溶接棒を対象として1941年に臨時日本標準規格(臨JES)Z第196号として制定された規格である。その後,JISへの切り替え,AWS規定の取り込み,国際単位記号への移行等,数度の改正を経てきているが,これまで我が国のアーク溶接に用いられる基本材料に係る規格として多くの法規や業界規準にも引用され,広く産業界で活用されてきた。
 本稿では,歴史的な標準規格として用いられてきた「JIS Z 3211」が,2008年12月20日に改正公示されたので,改正前後の規定内容を対比しながら,その具体的な改正内容を解説する。

 2.適用範囲

旧JIS Z 3211の適用範囲は軟鋼用の溶接材料であったが,ISOとの強度区分の違いによる混乱を回避するため,高張力鋼用に関する「JIS Z 3212」と,低温用鋼用に関する「JIS Z 3241」を統合し,「軟鋼,引張強さが490N/mm2級〜830N/mm2級の高張力鋼及び低温用鋼の溶接に使用する被覆アーク溶接棒」を適用範囲とした。また,この規格の対応国際規格は下記2件の共存型ISO(「溶接材料関連ISO/JISの動きと注意点」参照)を包含しており,そのシステムB(共存型ISOの環太平洋規格部分)のMOD(国際規格を修正して作成した)規格である。

・ISO 2560:2002,Welding consumables−Covered electrodes for manual metal arc welding of non-alloy and fine grain steels−Classification 

・ISO 18275:2005,Welding consumables−Covered electrodes for manual metal arc welding of high-strength steels−Classification

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本稿は,日本溶接協会機関誌「溶接技術」2009年2月号に掲載されたものをもとに,
直近の動向を踏まえ一部修正しております。記述内容は2009年3月末日現在のものです。

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