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 5.JIS Z 3325:2000とその規定が統合された改正JIS Z 3312との
   種類対比

低温用鋼溶接用のワイヤを規定したJIS Z 3325:2000では,ガスシールドアーク溶接用を示す記号,低温用鋼用を示す記号,ワイヤの化学成分の区分を示す記号,衝撃試験温度の区分を示す記号,シールドガスを示す記号及び溶接後熱処理の有無を示す記号の6区分であったが,改正JIS では3項に記載した7区分を適用した。JIS Z 3325:2000で規定していた種類が改正JIS Z 3312ではどのように種類表示されるかを例示対比して表5に示す。

 6.製品の呼び名例

6.1 軟鋼用のマグ溶接用ワイヤの例

     YGW11 1.2 20
    ワイヤの種類  径  質量

上記「11」は,ISO区分と共通のワイヤ化学成分の記号「11」を表し,合わせて,シールドガス,溶着金属の機械的性質も規定する記号として用いる

 

6.2 低温高張力鋼用のマグ溶接用ワイヤの例

    G 69 A 6 U M N2M3T 1.6 10
      ワイヤの種類       径  質量
69 :溶着金属の引張特性が引張強さ690MPa〜890MPa,耐力 600MPa以上,伸び14%以上
A :溶接後熱処理の有無が溶接のまま
6 :シャルピー衝撃試験温度が−60 ℃
U :シャルピー吸収エネルギーが 47J以上
M :シールドガスが混合ガス[JIS Z 3253に規定するM21で,炭酸ガス20%〜25%(体積分率)とアルゴンとの混合ガス]
N2M3T:ワイヤの化学成分(表3参照)

 

6.3 前項のワイヤを前項とは異なるシールドガス,溶接後熱処理及び溶着金属の機械的性質に区分した例

    G 62 P 4 C N2M3T 1.6 10
      ワイヤの種類   径   質量
62 :溶着金属の引張特性が引張強さ620MPa〜820MPa,耐力 530MPa以上,伸び15%以上
P :溶接後熱処理の有無が610±25 ℃で1 h の溶接後熱処理あり
4 :シャルピー衝撃試験温度が−40 ℃,かつ,シャルピー吸収エネルギーが 27J以上
C :シールドガスが炭酸ガス(JIS Z 3253に規定するC1)
N2M3T:ワイヤの化学成分(表3参照)

 7.まとめ

本稿では,ISOに整合化したJIS改正のうち,我か国で最も使用されている軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接用ソリッドワイヤを規定した「JIS Z 3312」について,その改正内容を改正前後の規定内容を対比しながら解説した。
 なお,溶接材料は,広く産業界で利用されている基礎材料であり,今回の国際整合化JIS改正は,大きな改正内容を含んでいることから,広く関係業界のご理解を得ておきたいと考えている。
 また,溶接材料JISは,(社)日本溶接協会と(財)日本規格協会とが共同作成で担当しており,国際規格,海外規格,国家規格及び団体規格の相互の関連についての調和を図った規格作りを推進していく所存ですので,規格を活用している方々からのご意見とご支援をお願いする。

 

参考文献

1.(社)日本溶接協会規格委員会 標準化ニュース「溶接材料規格の動向―国際整合化に基づくJIS改正―」,溶接技術,2007年5月号,113〜121ページ

2.(社)日本溶接協会規格委員会 技術情報「溶接材料規格の動向(国際整合化に基づくJIS改正)」,危険物保安技術協会,114号,JUL 2007,62〜69ページ

3.[解説] 「溶接材料規格の動向(国際整合化に基づくJIS改正)」,配管技術,2008.2 Vol.50 No.2,28〜31ページ

4.(社)日本溶接協会 溶接棒部会 技術委員会 特集 溶接の今をひもとく 第1部 溶接を取り巻く今日的課題「溶接材料関連ISO/JISの動きと注意点(国際整合化に基づくJIS改正)」,溶接技術,2009年1月号,66〜74ページ

5.(社)日本溶接協会 溶接棒部会 技術委員会 「溶接材料JISの改正内容の解説
第1回 JIS Z 3211 軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用被覆アーク溶接棒」,溶接技術,2009年2月号,97〜101ページ

 
文責
(社)日本溶接協会 溶接棒部会 技術委員会 規格化第9分科会主査 横田久昭
(株式会社神戸製鋼所 溶接カンパニー 技術開発部)

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本稿は,日本溶接協会機関誌「溶接技術」2009年3月号に掲載されたものをもとに,
直近の動向を踏まえ一部修正しております。記述内容は2009年3月末日現在のものです。

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