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2.2 フラックス入りワイヤ

2.2.1 適用範囲

JIS Z 3318「モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼用マグ溶接フラックス入りワイヤ」は, 1985年に制定された。以下に説明する改正では,対応する下記の共存型国際規格のシステムB(共存型ISOの環太平洋規格部分)に整合化して作成したMOD(国際規格を修正して作成した)規格であり,2009年度での改正を予定している。

・ISO 17634:2004,Welding consumables−Tubular cored electrodes for gas shielded metal arc welding of creep-resisting steels−Classification(MOD) 

  

2.2.2 ISOに基づいたフラックス入りワイヤの種類区分記号の付け方

現行のJIS Z 3318:2007と改正案との区分記号の付け方を対比して図2に示す。モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼用フラックス入りワイヤを表す冠詞が従来の「YF」からフラックス入りワイヤに由来する「T」に代わり,適用鋼種の記号に代わって,溶着金属の機械的性質,使用特性,適用溶接姿勢や化学成分の区分記号が詳細に追加となる。

 

2.2.3 製品の呼び名例

例  T55T1-1M-1CM-H101.220
    ワイヤの種類    径  
質量

55:溶着金属の引張強さが550 〜740MPa,(0.2%耐力が460MPa以上)
T1:使用特性がシールドガス−あり,ワイヤプラス,ルチール系
1 :適用溶接姿勢が全姿勢
M :シールドガスが炭酸ガス20%〜25%(体積分率)とアルゴンとの混合ガス
1CM:溶着金属の化学成分
     (特徴成分・・・Mn:1.50以下,Cr:1.00〜1.50,Mo:0.40〜0.65)
H10:溶着金属の水素量(単位:mL/100g)が10以下

 

2.2.4 改正予定JISの新旧対比

現行のJIS Z 3318:2007と改正案とを対比して表2に示す。改正案では,溶着金属の引張強さ,溶着金属の化学成分等を詳細に区分して規定することとしている。

 

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本稿は,日本溶接協会機関誌「溶接技術」2009年6月号に掲載されたものをもとに,
直近の動向を踏まえ一部修正しております。記述内容は2009年4月末日現在のものです。

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