2.3
ガスシールドアーク溶接用溶加棒及びソリッドワイヤ
2.3.1
適用範囲
JIS Z 3317「モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼用マグ溶接ソリッドワイヤ」は, 1985年に制定された。以下に説明する改正案では,対応する下記の共存型国際規格のシステムB(共存型ISOの環太平洋規格部分)に整合化して作成したMOD(国際規格を修正して作成した)規格であり,2010年度での改正を予定している。なお,適用範囲にティグ溶接に使用する溶加棒が追加されているので,改正案JIS Z 3317では「モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼のガスシールドアーク溶接用溶加棒及びソリッドワイヤ」と改称する予定である。
・ISO
21952:2007,Welding consumables−Wire electrodes, wires, rod and deposits for gas-shielded arc welding of creep-resisting steels−Classification
(MOD)
2.3.2 ISOに基づいた溶接ワイヤの種類区分記号の付け方
現行のJIS Z 3317:2007と改正案との区分記号の付け方を対比して図3に示す。モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼用マグ溶接ソリッドワイヤを表す冠詞が従来の「YG」から,ティグ溶接用は「W」に,マグ溶接用及びミグ溶接用は「G」に変更となる他,溶着金属の機械的性質や化学成分の区分記号が追加となる。
2.3.3 製品の呼び名例
製品の呼び方は,棒及びワイヤの種類,径及び質量による。
呼び方の例を,次に示す。
例1
G 49 C 3M3T − 1.2 − 20
ワイヤの種類 径
質量
G:マグ溶接及びミグ溶接 〔マグ溶接〕
49:溶着金属の引張強さが490Mpa以上
C:シールドガスがJIS Z 3253に規定するC1 〔炭酸ガス〕
3M3T:ワイヤの化学成分
(特徴成分・・・Mn:1.00〜1.80,Mo:0.40〜0.65,Ti:0.02〜0.30)
例2
G 55 A 1CM − 1.2 − 20
ワイヤの種類 径
質量
G:マグ溶接及びミグ溶接 〔ミグ溶接〕
55:溶着金属の引張強さが550Mpa以上
A:シールドガスがJIS Z 3253に規定するM13で酸素0.5 %〜3 % (体積分率)とアルゴンとの混合ガス
1CM:ワイヤの化学成分
(特徴成分・・・Mn:0.40〜0.70,Cr:1.20〜1.50,Mo:0.40〜0.65)
例3
W 62 2C1M3 − 2.4 − 1000
ワイヤの種類 径
長さ
W:ティグ溶接
62:溶着金属の引張強さが620Mpa以上
2C1M3:ワイヤの化学成分
(特徴成分・・・Mn:0.75〜1.50,Cr:2.10〜2.70,Mo:0.90〜1.20)
2.3.4
改正予定JISの種類規定内容
JIS Z 3317改正案の溶着金属の機械的特性と化学成分の組み合わせを表3に示す。
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