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 3.サブマージ溶接材料

サブマージアーク溶接に関係するISOとしては,フラックスに関するISO 14174の他に,ワイヤ・フラックス・溶着金属等を対象鋼種毎に規定したISO 14174(軟鋼及び細粒鋼用),ISO 26304(高張力鋼用),ISO 24598(耐熱鋼用)があり,これらはEU諸国で使用されているSystem Aと環太平洋地域で使用されているSystem Bとの共存規格である。今回のJIS改正に当って,上記ISO全てに整合化することは,サブマージ溶接に関係する全てのJISについての統合廃止が必要となること,JIS Z 3183「炭素鋼及び低合金鋼用サブマージアーク溶着金属の品質区分及び試験方法」のように,JIS使用者に大いに関係する規格であることから,今回の改正は,サブマージアーク溶接用フラックスについての改正に止めることとした。なお,JIS規格体系の整理統合については,「溶接材料関連ISO/JISの動きと注意点 -国際整合化に基づくJIS改正-」の表2を参照していただきたい。

一方,国際規格はEN 760:1996 をベースに2004年に第1版として発行されたISO 14174:2004 (Welding consumables - Fluxes for submerged arc welding - Classification)がある。元のEN 760に規定されていたフラックスとJIS Z 3352:1988に規定されていたフラックスは規定の仕方が大きく異なっていたため,このISO規格案制定にわが国は主導的役割を果たし,日本国内で製造されているフラックスがISO案に実質的に全て含まれるような提案をし,最終的に発行されたISO 14174:2004にはその提案をほぼ反映することができている。

そこで,JIS Z 3352:2007をISO 14174:2004に整合した改正を2009年度に予定しているが,その適用範囲は,これまでの「軟鋼,高張力鋼,低温用鋼,耐候性鋼,耐熱鋼」に加えて,JIS Z 3324:2007「ステンレス鋼サブマージアーク溶接ソリッドワイヤ及びフラックス」に規定されていたフラックス部分,及びJIS Z 3322:2007「ステンレス鋼帯状電極肉盛溶接材料」に規定されていたフラックス部分を統合した適用範囲とし(「溶接材料JISの改正内容の解説-ステンレス鋼溶接材料-」参照),名称は「サブマージアーク溶接用フラックス」を予定している。

 

3.1.2 ISOに基づいたフラックスの種類区分記号の付け方

改正予定のJIS Z 3352の区分記号を図4に示す。サブマージアーク溶接用フラックスを表す冠詞が従来の「FS」からSubmerged Arc Weldingに由来する「S」に代わり,フラックスの製造方法の記号,化学成分の記号,用途の記号が続く。

JIS Z 3352改正案におけるフラックスの用途の記号を表4に,フラックスの化学成分を表5に示す。

 

3.2 製品の呼び名例

製品の呼び方は,種類及び粒度による。

S:サブマージアーク溶接の記号
F:フラックスの製造方法:溶融フラックス
MS:フラックスの化学成分:酸化マンガン−シリカ系
  (MnO+SiO2)が50%以上,及びCaOが15%以下(いずれも質量分率)
1:用途:軟鋼,高張力鋼,モリブデン鋼,クロムモリブデン鋼,低温用鋼又は耐候性鋼の各種継手溶接又は肉盛溶接用
20×200:フラックスの粒度:対応メッシュによる表し方
追加記号:なし

 

S:サブマージアーク溶接の記号
A:フラックスの製造方法:ボンドフラックス
CB:フラックスの化学成分:カルシア−マグネシア−塩基性酸化物系
  (CaO+MgO)が40〜80%,CO2が2%以上,及びFeが10%以下(いずれも質量分率)
2:用途 ステンレス鋼,耐熱鋼,ニッケル又はニッケル合金の各種継手溶接又は肉盛溶接用
AC:フラックスが適している溶接電流の種類:交流
0.3〜1.7mm:フラックスの粒度:フラックス粒子の大きさによる表し方
追加記号

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本稿は,日本溶接協会機関誌「溶接技術」2009年6月号に掲載されたものをもとに,
直近の動向を踏まえ一部修正しております。記述内容は2009年4月末日現在のものです。

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