アルミニウム及びアルミニウム合金は,鋼に比べて約1/3と軽く,銅,マンガン,けい素,マグネシウム,亜鉛,ニッケルなどとの合金は,種々の構造用強度や耐食性を有しており,航空機,新幹線車両や自動車等の輸送用途の他,LNGや化学工業タンク類等,鉄に次いで広い分野で利用されている。しかし,溶接は難しい材料とされており,JISとしては,1964年に主としてASTM B 285-61Tを参考に,JIS Z 3232「アルミニウム及びアルミニウム合金溶加棒並びに溶接ワイヤ」が制定された。その後,種類やワイヤ径の追加等による数度の改正が行われた。今回の改正は,以下に記述の通り,対応ISOに整合化した改正を行った。
3.1 適用範囲
今回のJIS改正は,対応する下記の国際規格に整合化して作成したMOD規格である。なお,規格名称は,適用範囲の明瞭化のために「アルミニウム及びアルミニウム合金の溶加棒及び溶接ワイヤ」に変更している。
・ISO 18273:2004,Welding consumables−Wire electrodes, wires and rods for welding of aluminium and aluminium alloys−Classification
3.2
種類
アルミニウム及びアルミニウム合金の展伸材に関する化学成分による種類の表記は,表3の現行のJIS Z 3232:2000の種類表示が広く用いられている。したがって,この規格においても,従来から用いられてきたJIS Z 3232:2000の種類表示を「記号A」として残すこととし,ISO 18273で規定されている種類記号を「記号B」とし,これらのいずれかを選択して使用できることにした。また,ISO 18273においては多数の化学成分の種類が規格化されているが,必ずしもすべての種類が国内において流通しているわけではないものの,規格の国際整合化の視点から,従来のJIS規定種類に加えて,ISO規定種類をJIS にも追加することとした。現行のJIS Z 3232:2000とJIS Z 3232改正案との種類を対比して表3に示す。
3.3
製品の呼び方
現行のJIS Z 3232:2000は記号Aだけであったが,JIS Z 3232改正案においては,前項記載の通り,ISO規格の記号Bも追加し,いずれかの記号方式を選択できるようにした。製品の呼び方を例と共に以下に示す。
3.3.1
記号Aの場合
記号Aによる化学成分の種類の記号,棒又はワイヤの区分,及び径によるものとし,更にワイヤの場合には, 質量を追記する。 なお,棒及びワイヤの区分は,それぞれBY及びWYの記号を用いて表す。 呼び方の例を,次に示す。 例1
A1070−BY−3.2
種類 区分 径 例2
A1070−WY−1.2×5(kg)
種類 区分 径 質量
3.3.2
記号Bの場合
棒及びワイヤの区分,規格番号,記号Bによる化学成分の種類の記号による。 なお,棒及びワイヤの区分は, それぞれsolid rod及びsolid wireで表す。 呼び方の例を次に示す。 例1
Solid rod JIS Z 3232−S Al 1070
区分 規格番号 種類 例2
Solid wire JIS Z 3232−S Al 1070
区分 規格番号 種類
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