5.1 溶接補修の位置付け
プラント設備の多くは経年劣化によって徐々に寿命を消費し、予期されなかった損傷の発生によって補修や更新が必要となることが多い。予想された経年劣化や損傷でも、許容範囲を超えると、更新あるいは補修が必要になる。劣化や損傷が検出された場合には、少なくとも次回の定期保全検査(SDM)まで問題なく運転できることが必須条件となるため、状況に応じて応急補修あるいは恒久対策が必要になる。いずれの場合にも溶接補修の必要性は高く、設備保全上重要な位置を占める。
5.2 溶接補修の特徴
プラント設備の設備タイプ、構成材料、損傷形態が多岐にわたるため、溶接補修については状況に適した方法が必要である。
溶接補修は補修場所によって工場補修と現地補修に大別される。現地補修は工場補修に比べて作業性が大幅に劣るため、品質を確保するためには綿密な計画と作業管理が重要である。考慮すべき要因としては、内部流体・スラッジ・スケールなどの除去、天候条件や作業場所、補修検討および工事期間が短いなどがある。溶接施工の観点からは、厳しい拘束条件下での溶接、経年劣化による溶接性の低下、溶接作業性の低下、予熱・直後熱・PWHTの困難さなどがあげられる。
現地溶接補修は工場での新規製作時の溶接と比較して、工期、作業環境、溶接施工上などの点で厳しくなるため、溶接補修要領の検討において留意することが重要である。
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