2.5 熱交換器管端溶接補修
本補修方法は、石油、化学プラントなどにおける多管円筒形熱交換器の漏れ止め溶接部(シール溶接部)、耐力溶接部(ストレングス溶接部)及び伝熱管に検出された欠陥に対する汎用的な溶接補修方法について適用する。
本項では溶接補修方法のみならず以下のとおりの内容についても概説している。
・ 熱交換器の種類(固定管板式熱交換器、遊動頭式熱交換器、U字管式熱交換器)
・ 管板および伝熱管用材料
・ 管板と伝熱管の溶接(漏止め溶接、漏止めおよび耐力溶接、耐力溶接)
・ 熱交換器伝熱管の代表的な損傷と検査方法
・ 気密試験、他
管端溶接部の補修方法については、供用中に検出された腐食減肉、割れに対する補修方法として、リチュービング法、管端溶接部(漏れ止め溶接部、耐力溶接部)の局部補修法およびプラグ法を示した。ここでは、その一例として、管端溶接部の局部補修方法の概要を図12に紹介する。
図12
管端溶接部の局部補修方法の概要
2.6 補修関連技術(その他の補修工法)
溶接による補修は事前に十分な検討が必要であり、また段取りが大掛かりで施工に時間がかかる場合が多いことから、より手軽に短時間で施工が可能な補修法が表2に示すとおり各種提案されており、漏洩、腐食、磨耗減肉の補修に対して広く利用されている。これらの補修法では運転を停止せずに施工できるものもあるため、現場での応急補修に広く適用されているが、応急措置に留まらず長期間にわたり恒久的に使用している例も多数ある。ただし、それぞれの補修法において、適用できる限界(温度/圧力/流体など)があるので、事前に十分な確認が必要である。
同様な補修方法がASME PCC-2“Repair of Pressure Equipment and Piping”でも解説されており、その内容は、本指針の第5章、2.2項でも紹介しているので参考に願いたい。
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