3.1 機械的性能
常温での強度は、二相系が最も強度が高く、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系の順に強度が低くなる。
3.2 耐食性
ステンレス鋼の腐食は全面腐食と孔食、隙間腐食などの局部腐食、応力が負荷された環境で発生する応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)に分類される。
孔食、隙間腐食は塩化物含む湿潤環境の濃縮で発生しやすく、腐食部ではpHの低下により腐食速度が大きいのが特徴である。ステンレス鋼へのCr、Mo、Nなどの合金元素の添加により不動態被膜が安定となり、耐食性が向上する。一般的に合金元素の耐孔食性に対する影響は、Cr、MoおよびN量により計算される耐孔食指数(Pitting Resistance Equivalent:PRE=Cr%+3.3×Mo%+16×N%)により整理され、PREが大きいほど耐食性は向上する。
また、溶接熱影響部の500〜850℃に加熱される領域で、結晶粒界に炭化物が析出し粒界近傍でのCr量低下により粒界腐食が発生しやすくなる現象があり、鋭敏化と呼ばれている。C量の低い材料(SUS304LなどのC≦0.030%の材料)は耐鋭敏化性に優れる。
SCCは、特定の腐食環境中で応力が負荷されると発生する割れである。SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼の塩化物水溶液によるSCC下限界応力は極めて低く、高Ni材や二相系は耐SCC性が高い傾向にある。
|