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プラント圧力設備の溶接補修

第5回 劣化損傷と溶接補修における留意点

日揮株式会社 木曽 朋顕

(化学機械溶接研究委員会 圧力設備溶接補修小委員会幹事)

 1.はじめに

本号では、プラント圧力設備溶接補修指針(以下、指針と呼ぶ)の第4章「劣化損傷と溶接補修における留意点」についてその概要を紹介する。

指針の第1章から第3章までは、全般的・共通的な内容を中心にまとめているが、第4章では特定の設備や個別の損傷形態に対して具体的な補修事例を含めてまとめている。

本章の構成は以下のとおりである。

a. ステンレス鋼クラッド厚肉Cr-Mo鋼製圧力容器
b. 塩化物応力腐食割れの溶接補修
c. 液体アンモニア応力腐食割れの溶接補修
d. 湿潤硫化水素損傷の溶接補修
e. 経年劣化材の溶接補修

 2.事前に必要な検討項目

特定の運転条件では、短期間で割れ等の損傷が問題となる他、高温で長期間使用された設備では、経年劣化により著しい延性低下や靭性低下を生じることがある。このように劣化損傷した材料の溶接補修に当たっては、施工中の安全や損傷の再発防止の観点から、以下の事項に関して十分な検討が必要である。

a. 劣化損傷の原因
b. 劣化損傷の程度と範囲
c. 劣化損傷部の除去方法
d. 溶接性(脱脆化処理の要否および可否も含む)
e. 溶接後熱処理(PWHT)の要否および可否
f. 非破壊検査
g. 耐圧試験の要否および可否

なお、不適切な溶接補修は新たなトラブルを引き起こす可能性があるため、できるだけ溶接補修を減らすような検討も必要である。

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本稿は,日本溶接協会誌「溶接技術」2010年11月号に掲載されたものです。

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