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プラント圧力設備の溶接補修

第5回 劣化損傷と溶接補修における留意点

 3.劣化損傷と溶接補修における留意点

3.1 ステンレス鋼クラッド厚肉Cr-Mo鋼製圧力容器の溶接補修

(1)溶接補修事例

表1に代表的な溶接補修事例を示す。反応塔の主な補修事例としては、ガスケット溝底割れの溶接補修、オーバーレイ部割れの当て板補修、ノズル取り付け溶接部の割れ補修があげられ、その他にインターナル改造なども行われる。

代表的な溶接補修事例については、本連載講座の第3回(炭素鋼・Cr-Mo鋼の溶接補修)で紹介されているので参照願いたい。

(2)溶接補修方法の検討および溶接補修の留意点

溶接補修の方法としては、肉盛溶接補修と当て板溶接補修がある。この中でPWHTを避ける溶接補修方法としては次のような方法がある。

a. 欠陥除去後でも、ステンレス鋼クラッド・オーバーレイ部の残存厚さが母材に熱影響を与えないと考えられる3mm以上を確保できる場合、図1のように肉盛り溶接補修を行う。

b. 欠陥除去後のステンレス鋼クラッド・オーバーレイ部の残存厚さが3mm以下になった場合、溶接による熱影響を避けるために図2のように当て板をシール溶接で取り付ける。

図1 クラッド部の肉盛り溶接補修       図2 クラッド部の当て板溶接補修

一方、欠陥除去後に必要肉厚を下回る場合や、構造的に当て板が採用できない場合は、肉盛り溶接補修が必要になり、母材(Cr-Mo鋼)へ直接溶接補修する場合や母材へ熱影響が及ぶ場合にはPWHTが必要となる。局部加熱によるPWHTでは、温度勾配を緩やかにして熱応力の発生を極力防ぐように、加熱幅と保温幅を決める必要がある。また、座屈等の防止のために必要に応じてサポート等の設置も検討する。347系のようにシグマ相が析出しやすい材料では、デルタフェライト量を低く抑えるなどの対策も必要である。PWHTにより加熱された部分は、非破壊検査により欠陥がない事を確認する。

クラッド・オーバーレイ部への当て板溶接補修では、キャスタブルライニングやベントホールなど特有の検討項目がある。当て板の溶接には過大な入熱を避けるためにティグ溶接が望ましい。なお、母材へ直接溶接をせず、母材への熱影響も避ける当て板溶接補修方法では、通常耐圧試験は不要である。

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本稿は,日本溶接協会誌「溶接技術」2010年11月号に掲載されたものです。

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