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プラント圧力設備の溶接補修

第6回 溶接補修に関する国内外の法規・規格

4.2 米国の溶接後熱処理(PWHT)代替溶接補修法に関する規格5,7,9)

製造時にPWHTが要求される設備では、溶接補修後にも基本的にはPWHTが必要である。しかし、現場でPWHTが物理的に困難な場合には、代替溶接法を使用すればPWHTを省略することも可能である。代表的な規格としては、ASME Section XI、NBIC NB-23及びAPI 570がある。

1) ASME Sec. XI IWA-4600 PWHT省略溶接補修法7)

PWHT代替法が最初に規格に取り入れられたのは、ASME Sec. XIである。1979年版ではIWB-4420ハーフビード法が承認されている。1999版ではハーフビード法に代わってテンパービード法となり、現在6項目(IWA-4610〜4660)に拡大された。P-1、3、12A、12B、12Cの補修溶接は、規定の条件を満足すればPWHTを省略できる。但し、補修領域は64,500mm2以下、母材厚さの1/2以下に限定される。SMAWでは177℃以上に予熱し、パス間は232℃以下に保持する。SMAWによる溶接補修は図5の要領による。

図5 テンパービード法7)

ハーフビード法は非能率な方法のため、日本でテンパービード法の研究開発10)が行われ、その成果が1999年のASME Sec. XI IWAにおけるテンパービード法への採用に至った。JSME S-NAI維持規格補修編には、ASMEと同じテンパービード法が規格化されている。国内原子力発電設備にも、PWHT代替溶接法が最近個別承認として認められるようになった。独KTA(原子力)でも、欠陥の種類、原因を考慮して個別承認として代替法が認められている。

2) NBICのPWHT代替溶接規定9)

米国のNBIC NB-23 RD1000のハーフビード法が一般圧力設備における最初のPWHT代替溶接法の規格(1977年版)である。NBICの創刊は1946年版で,当初ボイラー/圧力容器の検査と補修の規格であったが,1995年に適用範囲を配管に拡大したため,全面改訂を行った。2001年版ではテンパービード法を含めた4つの方法(表8)が規定されている。

表8 NBIC NB-23のPWHT代替溶接法9)

RD No. 適用条件 溶接法 予熱・後熱温度
RD-1030 @P-1,3(Mn-Mo系除)
A靭性要求なし
SMAW,GMAW

FCAW,GTAW

予熱≧149℃
パス間≦232℃
RD-1040 @P-1,3,4,5,9,10
A靭性要求有
同上、テンパービード法、

制御溶着法、
WPQTで靭性、硬さ確認

予熱≧PQR
パス間≦PQR
RD-1050 @P-1,3
A靭性要求なし
SMAW, GTAW
WPQTで硬さ確認
予熱≧177℃
パス間≦232℃
RD-1060 @P-4,5A
Aボイラーのみ
SMAW,FCAW,GTAW

テンパービード法、
WPQTで硬さ確認

予熱≧177℃(P-4)
   200℃(P-5)
パス間≦430℃
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本稿は,日本溶接協会誌「溶接技術」2010年12月号に掲載されたものです。

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