1.エピソード <その1:被覆アーク溶接法の名称>
被覆アーク溶接法はガス溶接法とともに非常に古くから適用されてきた溶接法です。それだけに、その呼称については統一されておらず、各国でかなり異なったものとなっています。
下表は本事典の第2部に掲載されているISO, AWS, JISの比較表の一部を紹介したものです。
この表に示すように、ヨーロッパ(すなわちISO)、アメリカ(AWS)そして日本(JIS)では表現が著しく異なることにお気付きのことと思います。これらを日本語で直訳して表すと、次のようになるでしょう。
ISO : Manual Metal Arc Welding ;手動金属アーク溶接
(ヨーロッパでの略称はMMA, またはMMAW)
AWS:Shielded Metal Arc Welding ;シールド金属アーク溶接(略称SMAW)
日本(JIS):被覆アーク溶接(略称手溶接)
ここまで表現が異なると、世界統一は極めて困難であることが理解できる気がいたします。なお私見としては、日本のJISで併記している英語表現(Metal arc welding process with covered electrode)が最も良いかと思われます。