相談例8.STPA12とSTPA22配管異材継手のTIG溶接材料の選定
STPA12とSTPA22の鋼管(口径150A、板厚Sch80)を突合せ溶接(TIG溶接)したいのですが、溶接材料の選定方法並びに銘柄を教えていただきたいです。 溶接は、片側溶接で1層目は裏波を出します。最終層までTIG溶接です。
回答
STPA12(0.5Mo材)とSTPA22(1.25Cr-0.5Mo材)の異材継手になりますので、定石通りですと、①低グレード側の溶材を選択し、②高グレード側の溶接後熱処理(PWHT)を実施する(AWS D10.8等にガイドラインがあります)、ということになります。TIG溶接材料としては、JIS Z3317 W 52-1M3(0.5Mo系TIG溶加棒、例えば神鋼材の場合TG-SM)を選択することになります。
問題はPWHTの条件で、溶接材料に合わせるのであれば温度650〜700℃、保持時間1時間で結構です。(温度は神鋼溶接棒カタログを参照、時間は1時間/1インチです。口径150A、Sch80だと肉厚11mmなので最低の1時間としています)ただ、工事の仕様によっては『規格』を参照することになっていることがあり、例えばJIS B 8265(圧力容器の構造−一般事項:付属書S溶接後熱処理)参照すると、原則としてPWHTは必要で、PWHT温度が595〜650℃以上となります。但し、省略可能板厚≦16mmの規程も適用可のため、PWHT不要とも判断出来ます。用途によりますので設備・装置の設計エンジニアと相談いただければと思います。
現在の情報だけだとPWHT有無、条件を確定することができません。対象材の適用法規によってPWHT適用の要否、方法等が規定されておりますので、詳細は適用法規に従ってください。