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第3回

相談例9.焼きばめで生じる応力と溶接部の疲労強度

STPG370管の両側にフランジ(S25C)を全周溶接する時、フランジを固定するため下図のようにパイプ内径を機械加工し、焼きばめの実施を検討しています。次の2項目について相談いたします。

① 焼きばめを実施で、その際生じる内部応力により溶接部の疲労強度が低下することが考えられますか。

② STPG370管の溶接で予熱は必ずしも必要でないと認識していますが、肉厚が増えた場合はどの程度の厚みで何度位の予熱が必要になりますか。

回答

① 焼ばめした後に溶接を行うのであれば、焼ばめの有無では溶接後の残留応力はほとんど変わりません。したがって従来との相違が焼ばめの有無だけであれば、疲労強度への影響はありません。
もちろん溶接による残留応力は同じ程度に発生しますので、従来の施工要領何ら問題がなかったのであれば、同様の継手で焼ばめを行ったとしても、これまでとおなじ手順で施工すればよいと判断できます。
相談内容とは異なりますが、通常このような継手の場合はフランジとパイプの間の隙間が亀裂として存在します。この亀裂部は、繰り返し応力に対して脆弱となります。構造上疲労強度が重要な課題であるとすれば、溶接部先端に亀裂、開口部が存在するこれまでの継手よりもフランジとパイプの完全突合せ継手の採用についての検討をお勧めします。勿論、この場合安定した裏波ビードの形成、仮組みの方法など技術課題があります。

② また予熱についても、これまで予熱なし施工してきたとのことですので、これまでどおりでよいと考えます。板厚が増えても大幅な変更でない限り特に必要としないでよいと思います。いずれにしても設計変更点が出た場合には、事前に溶接試験を実施し、溶込みの完全性、有害な溶接欠陥の発生なきよう溶接施工要領書(WPS)に反映して、そのWPSにしたがった溶接施工の実施が必須となります。
なお、必要予熱温度設定の考え方については、溶接・接合技術特論P.143〜146を参照ください。ただし、適用成分範囲にずれがありますので、ご注意ください。


(WE-COM会員のみ)